先日(10/21)、東京都の高校新体操女子チームを指導してきました。
この指導の10日前に一度練習を見に行きましたが、顧問の先生のお話を聞いてみるとその動きの複雑さに驚くばかりで、いったい何から手をつければいいものかとちょっとばかり戸惑いました。
しかし、何人かの選手を呼んで、お腹を絞ることや股関節を内旋することなどを行ってもらうとうまくできる選手とできない選手がいるということがわかり、やはりインナー・マッスルの動きをひとつひとつ見直してみればよいのではと考えていました。
そこでその日の指導では、インナー・マッスルの解剖図を見てカラダのどこにどんな筋肉があってどういう動きをしているのか、インナー・マッスルを触りながら解説していきました。実際にインナー・マッスルに触ってみると予想以上に硬い選手が多く、他の競技のスポーツ選手と同じようにけっこう痛がっていました。前後開脚をすると180°以上に開くにもかかわらずインナー・マッスルが柔らかいわけではないのです。
いつものように腸腰筋などを刺激して動かしていくとだんだん緩んでいったので前後開脚していつもと違いが出たかどうか質問してみました。すると、開脚するのはいつもとあまり変わらないということなので、そこから立ち上がってもらうと「えっ、すごい、すごい力が入る!」という答えが返ってきました。その後も股関節周りのインナー・マッスルを動かしていくと
「脚がいつもより上がる!」
「太ももが細くなった!」
「ヒップ・アップした!」
といった反応がどんどんと出てきました。顧問の先生も「すごい、すごい、こんなに変わるなんて…」と驚いていました。
次に肩のインナー・マッスルを触っていくと、股関節以上に硬くなっていました。というのは、胸を張るのがよい姿勢であるためにいつも肩甲骨を後ろに寄せてしまっており、肩甲骨が胸郭に張り付いて剥がれないような状態になっている選手が多く、前鋸筋を触ると跳び上がるほど痛がっていました。肩甲骨が動かなくなっているため肩こりがひどい選手もおり、
「肩が軽くなった!」
「腕がよく回る!」
「血液が流れてぽかぽかしてきた」
といった反応がありました。
最後に体幹部のインナー・マッスルを緩めるために、力を抜いて呼吸しながらお腹を絞る“アブドミナル・スクイズ”を紹介し、壁に脚を立てかけて行うウォール・アブドミナル・スクイズ、壁に寄りかかるように座って行うシーティッド・アブドミナル・スクイズを繰り返しました。なかなか腹直筋の力が抜けない選手もいましたが、徐々に力が抜けていき、床の上に仰向けになるとだんだんと背中が床に着くようになってくるのを確認しました。
「カラダがだるくなった」
「眠くなってきた」
「カラダが暖かくなってきた」
といった反応が多く、呼吸だけでカラダがこんなにも変わるんだということに驚いていました。
数日後、顧問の先生から以下のようなメールが送られてきました。
「前回のトレーニング後、生徒たちは自分たちの体にとても興味を持ったようでとても有意義な時間になりました。」
これまでに新体操女子選手の指導は行ったことがないために、今後どうなっていくかが楽しみです。ブログにてまたご報告します。
先日(10/13)に恵比寿で加圧トレーニングやピラティスなどを指導されている(株)rinatoの研修会に呼ばれて主に股関節内旋の尻締めスクワットを指導してきました。
(株)rinatoの代表である森さんは、私の書いた『インナー・マッスルを使った動きづくり革命パート1、パート2』を読んで、研修会をしてくださいと連絡してきてくれました。当日は森さんと男性スタッフと女性スタッフそれぞれ1名の3名が参加してくれました。
始める前に森さんと話をしましたが、加圧トレーニングやピラティスも長所と短所があるということでした。
加圧トレーニングは筋力アップにはよいのですが、脚のつけ根を縛り付けるため、股関節が詰まったような感覚になり、これだけやっていると股関節の動きが出にくくなるそうです。そこで、しっかりと股関節を動かすようなスクワットをさせているのですが、それで股関節の状態がよくなると加圧トレーニングの効果がさらに出やすくなるとのことでした。
また、ピラティスは深層筋であるインナー・マッスルを鍛えるのにはよいのですが、ほとんど脚が床に着かないオープン・キネティックの動きなので、日常生活でのカラダの使い方などの改善にはなかなかつながってこないそうです。したがって、脚を床に着けたクローズド・キネティックな動きのスクワットやランジなどでどのようにインナー・マッスルを使うかということも指導する必要があり、今回の研修をお願いしたとのことでした。
私が指導しているのは、ほとんどスポーツ選手のためフィットネスの指導者であるパーソナル・トレーナーに何をどのように伝えればよいかわからなかったのですが、こうした森さんの言葉にとりあえずいつも教えている尻締めスクワットのやり方を教えていくことにしました。
まず始めに股関節内旋の尻締めスクワットであるワイド・スタンス・ナロー・スクワットを行ってもらうと、股関節が詰まって深くしゃがみ込むことができませんでした。これは、股関節の外旋筋群が硬くなって股関節を内旋するときにそこが伸びず、大腿骨頭が前にずれてきてしまうからだということを説明し、その後、外旋筋群のストレッチを行いました。しかし、ストレッチをしてもなかなか緩まないため、外旋筋群のひとつである外閉鎖筋を押しながら動かすダイレクト・ストレッチを行いました。かなり硬くなっている森さんと男性スタッフはかなりの痛みに悶絶していましたが、ここが緩んだ状態でワイド・スタンス・ナロー・スクワットを行うと股関節が内旋してなんとかしゃがみ込むことができました。
外旋筋群が硬くなっているのは、内旋筋である小臀筋がうまく働かないからだということを解説したのち、小臀筋のコンディショニング・エクササイズを紹介しました。ところが、小臀筋になかなか力が入りません。
そこで、股関節のインナー・マッスルに力が入らないのは、呼吸で使われる体幹部のインナー・マッスルがしっかりと締まらないからという説明をした後、体幹部のインナー・マッスルを締めるアブドミナル・スクイズを解説しました。アブドミナル・スクイズを行うと体幹部のインナー・マッスルが働き、仙骨が奥に入っていくように動くことを確認してもらいました。こうした状態で再び小臀筋のエクササイズを行うと少しずつ力が入ってくるようになりました。再びワイド・スタンス・ナロー・スクワットを行ってもらうと小臀筋に力が入るようになり、かなりスムーズに深くしゃがみ込み、お尻を締めて立ち上がることができるようになりました。
森さんには、「ピラティスで学んだことを別の角度から解説してもらいながら確認できて非常におもしろかった」と言ってもらえました。私としては、誰かから教わったわけではなく、指導をしていてうまくいかないことを修正していったことを伝えたのですが、こうした評価をもらえて自分が考えたことが間違っていなかったのだということを確認できました。
先日(8/22,23)に高知の高校女子チームを指導しに行ってきました。
そこでは、この1カ月くらいで指導している“脇腹を絞る”アブドミナル・スクイズに時間をかけました。
アブドミナル・スクイズ(一般的にはドロー・インと呼ばれていますが)は、最初の段階でお腹の力を抜いてリラックスして呼吸するようにと伝えていました。こうしていると自然と体幹部のインナー・マッスルが徐々に働いて腹直筋や脊柱起立筋が緩んでくるのですが、ある程度のところまでいくとなかなか緩んでこなくなります。どうしたらもっとうまく緩むようになるのだろうと思考錯誤していたところ、うまく緩む選手と緩まない選手の違いがわかってきました。それが脇腹を絞ることができるかどうかなのです。
うまく緩んでくる選手は、きちんと脇腹を引っ込めるように絞ることができるのに対し、緩まない選手は脇腹が硬く、手で押さえても引っ込んできません。そこで、パートナーに脇腹を押さえてもらって息を吸うときも吐くときも脇腹を引っ込めるつもりで絞るようにしていきました。
最初のうちはどこに力を入れればよいかわからずにかなり苦しんでいましたが、特に肋骨の下あたりを引っ込めることができるようになってくると仙骨が締まり、へその下の奥の方(いわゆる臍下丹田とよばれるところ)に力が入ってくるのがわかってきます。こうなると天然のコルセットである腹横筋がしっかりと働くようになるため、お腹周り全体が絞られてきて肋骨と骨盤の間が広がり、腰椎の前弯が弱くなって姿勢がよくなります。
初日の午後はかなりの時間をアブドミナル・スクイズに費やし、脇腹を絞る感覚を身につけるべく、さまざまな姿勢で行ってもらいました。
「これがしっかりできるとウエストが細くなるからね」
という私のことばに
「本当に細くなるんですか? それなら、がんばろう!」
と半分冗談っぽく言いながらやっている選手がいました。
ところが次の日になってある姉妹選手の妹が
「きのううちに帰ってウエスト計ったら、5センチも細くなっていて、体重も2キロ減っていた。姉ちゃんも同じだった」
というのです。みんなは、
「え〜〜っ! すごいね!」
と驚いていましたが、普段あまりうまく働いていない腹横筋がしっかりと働いた結果なのです。
そこで私は一言、
「続けないと元に戻っちゃうからね!」
と釘を刺しておきました。
4〜7月のバスケットボール塾では、パス・ドリブルを高めるための動きづくりということで、上半身の動きを中心にコンディショニング・エクササイズからハンド・ワークを行ってきました。
チェスト・パスの動きでは、肩甲骨を寄せずに離した動きで行うプッシュ・アップからワン・ボール・プッシュ・アップ、壁を押すウォール・ワン・ボール・プッシュ・アップを行い、チェスト・パスへと発展させていきました。また、ドリブルの動きでは、肘を横に開いた状態からワキを締めるように押すボール・リバース・プッシュ・アップからボールを押し下げるボール・プッシュ・ダウン、そしてプッシュ・ダウン・ドリブルへと発展させていきました。
基本的に、肘の曲げ伸ばしで腕の筋肉を使って行うのではなく、肩甲骨を離してワキを締めるように胸から肩周辺にある筋肉を働かせてパスやドリブルを行おうというのがこの期のテーマでした。
ところが、だんだん肩甲骨を離して胸で押す動きがうまくできるようになってくると強いパスや鋭いドライブでのドリブルをするためには、脚や体幹部から上半身への力の伝動が重要になってくるのです。
実は、この力の伝動を生み出すためには“仙骨を締めて押す”動きが必要なのです。一般的には“腰を入れる”といった表現がこれにあたるのですが、腰の入ったパス、つまりは仙骨で押すパスは、腕だけの動きのパスに比べ、非常に強く速いのです。また、こうしたパスは、足を踏み出してから腕を伸ばすツー・モーション(二動作)の動きでなく、足を踏み出すと同時に押すワン・モーション(一動作)の動きになるため、タイミングが早く、ディフェンスに読まれにくくなります。その上、ワン・モーションのパスでは、パスを出しながら走り出すパス&ランの動きをスムーズに行うことができるのです。
これをドライブに応用すると、腰を入れて、つまり仙骨で押してバウンズ・パスを出しながら走り出す動きになってくるのです。ボールを手で押すと、どうしても足下にドリブルを突いて一歩が広がらなかったり、ドリブルを突くタイミングが遅れてトラベリングになってしまったり、うまくドライブできません。しかし、腰を入れて、仙骨で押してパスのようにドリブルを出すと、体幹部の近くでボールを前に押して離すため、ボールを離すタイミングが早く、なおかつ一歩が広がってくるのです。
結局、5月の後半から7月にかけては、上半身だけでなくこうした仙骨で押す動きの練習をすることになりました。
みなさんも試してみてください。
先日(6/4,5)、東日本大震災の被害が大きかった仙台に行き、大学生の指導をしてきました。
地震の1週間前に指導に行き、それ以来だったので3カ月ぶりとなってしまいました。この大学の体育館も被害を受け、もしかしたら建て直さなくてはいけないという程だったのですが、修繕すればなんとか大丈夫になったようです。
しかし、この日は大学の体育館は、修繕中ということでまだ使えず、隣にある附属高校の体育館を借りて行いました。
この日の指導は、いつも行っているインナー・マッスルのコンディショニング・エクササイズの確認と追加エクササイズの紹介、そして5月にラグビー選手を教えたのと同様、“仙骨を締めて押す”動きについて理解してもらうことでした。
まずは、壁に寄りかかって“シーティッド・アブドミナル・スクイズ”を行いました。パートナーにお腹を押してもらい、腹直筋の状態を確認すると硬くなってかなり痛がる選手もいました。こうした選手にはできるだけお腹を引っ込めたまましばらく呼吸を繰り返してもらうと、しっかりと腹横筋が働いてきて腹直筋に力が入らなくなり、だんだんと緩んでくるのです。すると自然とへその下の奥のあたりに力が入り、仙骨が締まってくるのを確認できるようになってきます。
こうしてお腹を絞ることを確認した後に、同時に胸も膨らませずに引っ込めるように呼吸しました(アブドミナル&チェスト・スクイズ)。すると背中が膨らんできてストレッチされ、頸椎から胸椎にかけての動きが出てきて、肩も緩んでくるのです。こうした呼吸を“背式呼吸”と呼んでいます(背式呼吸について詳しくは、『季刊パーソナルトレーニング』第13号(2011年春号)を参照ください)。
アブドミナル・スクイズの後には、股関節の内旋エクササイズである“レッグ・インターナル・ローテーション&ロール・アップ”を行いました。これは股関節を内側にねじりながら、ロール・アップを行うエクササイズです。お尻の奥にある外旋筋群が硬くなっていると内旋筋である小臀筋がうまく働かず、膝が外側に開いて足が持ち上がってしまいます。そこで、外旋筋群をストレッチして小臀筋を働かせるために“ハードル・シット・アップ”というエクササイズを紹介しました。しばらくこれを行っていると小臀筋に力が入り、股関節の横前方がつりそうになってきます。こうして力が入るようになってくると、股関節を内旋してロール・アップを行っても足がしっかりと固定されるようになってきます。
こうしたエクササイズを行った後に、ラグビー選手の指導でも行ったワイド・スタンス・プッシュ・ウォーキングを行いました。これは、いわゆるお相撲さんが脇を締めて相手を押す動きをイメージしてもらえばいいでしょう。何回か行っていくと何人かの選手が、脚で押すのではなく、お腹を絞るように“仙骨を締めれば押すことができる”という感覚になってきました。そこで、
「押される方も仙骨を締めれば押されにくく踏ん張ることができるようになるよ!」
と声をかけました。するとしばらくして押される役をやっていたキャップテンが押している途中の後輩に
「俺の仙骨の勝ちだな!」
と大きな声で言っているのが聞こえてきました。なるほど、よくわかってくるとそうした感覚になってくるのです。まさに“仙骨の勝負”なのです。
5月初めの連休中、茨城県の高校ラグビー・チームの指導をしてきました。
「今日の課題は、“仙骨を締めて押す”という感覚を感じ取ること!」と言って、うつ伏せになって仙骨を触ることから始めました。
このチームを指導するのは、今年で3年目。まだまだこちらが指導しているインナー・マッスルのコンディショニングの意味が理解できず、いっしょうけんめいに取り組めないといった感じでした。今年こそ、なんとか仙骨の動きを実感させてこれがわかれば今までよりもしなやかでキレのある動きができる、プレーが変わる、どんどん可能性が広がっていくということを伝えたいと思っていました。
仙骨を押してみると、もののみごとにカチカチに硬く丸みを帯びており、後ろに出っ張ったままほとんど動かなくなっている選手が多く、いっしょうけんめいがんばっているものの力任せに動いてしまっているのだろうなぁと感じました。
力を抜いてパートナーに足を持ち上げてもらいながら腹式呼吸をするレッグ・リフティング・アブドミナル・スクイズを行った後、その状態で足を壁に立てかけるウォール・アブドミナル・スクイズを行いました。このエクササイズと壁により掛かってお腹を引っ込めたまま呼吸を行うシーティッド・アブドミナル・スクイズを交互に行うことで、仙骨周辺の多裂筋などのインナー・マッスルが緩んでリラックスした状態で背中全体が床に着いて来るのを感じてもらいました。
その後でもう一度うつ伏せで仙骨を触ってもらいました。すると、今まで硬く丸みを帯びて動かなかった仙骨に弾力性が出てきて上から押すと沈み込むようになってくるのです。「ただ呼吸をしていただけなのにこんなことでカラダが変化していく」と言って驚いていました。
そこで、次のような話をしました。
「昨年、君たちの先輩の中に椎間板ヘルニアで腰を痛め、足がしびれてしまった選手がいたけど、『毎晩繰り返しアブドミナル・スクイズを行っていたら、腰、大丈夫になりました』と言っていたよ。それぐらいきちんと呼吸すると効果があるんだよ」というとかなり関心を持ち出しました。
そこで、次に仰向けで膝を90度に曲げた状態からのアブドミナル・スクイズ・ヒップ・リフトを行いました。お腹の力を抜いてしっかりとアブドミナル・スクイズをしていくと仙骨周辺の筋肉が締まり、仙骨がお尻の中の方に押し込まれるようになってきます。この動きを“仙骨を締める”と表現しているのですが、これを使ってお尻を持ち上げる(というよりも“持ち上がってくる”といった感じ)のが、アブドミナル・スクイズ・ヒップ・リフトです。これは、呼吸をしてお腹を絞るだけで仙骨が締まり、お尻が勝手に持ち上がってくる感覚になり、力任せにブリッジをするのに比べて非常に楽にお尻を持ち上げることができるのです。この感覚がわかってくると、力任せではなく、リラックスすることの大切さがわかり、だんだんと選手たちの目が輝いてきました。
次に、仙骨を締めて体幹部を真っ直ぐに保ったままあたかも後ろに倒れていくようなシッシー・スクワットを行った後、ワイド・スタンス・プッシュ・ウォーキングを行いました。これは、前に立っている人を押しながら歩いていくエクササイズなのです。いわゆるお相撲さんが脇を締めて相手を押す動きをイメージしてもらえばいいでしょう。
実際に行わせてみると、ラグビー選手で日頃押し合いをしているにも関わらず、うまく押せない選手が多いのです。カラダが前傾してかかとを浮かせ膝を曲げて押す動きが多く、いわゆる腰が入らない動きで脚で押してしまうのです。そこで、少しスタンスを広げてかかとを地面に着けた状態でアブドミナル・スクイズ・ヒップ・リフトのようにお腹を絞って仙骨を締める動きを使って押すように指導しました。すると、仙骨がお尻の奥に入っていくような感覚が生まれ、腰の入った動きでお尻が働くようになってきました。うまくできている選手に聞いてみると、ほとんど太ももの筋肉を使った感覚はなく、とにかくお尻がきついという答えが返ってきました。まさに、“仙骨を締めて押す”という感覚がわかってきたのです。
そこで、試技に使っていた選手にこの感覚を使って走ってみるように伝えると、しばらくやっているうちに「わかった!」と叫びながら、何度も何度も繰り返し走り出しました。それまではいくら指導してもわからず、足を後ろに流して引っ掻くような動きで走っていたのですが、わかったとたんに走り出しがスッと早くなり、うしろに足が流れなくなってきたのです。そして、かかとで真下を押すようにすれば、勝手に仙骨が締まって前に進むんだということを解説すると、「だれかに後ろから仙骨を押されているみたいです」とうれしそうに話していました。それから「これは、すごい! これは、すごい!」と言いながら何度も何度も繰り返し走り込んでいました。
まさに“仙骨を締めて押す”感覚で走ることができたのです。
ここで紹介したエクササイズの多くは、拙著『動きづくり革命パート2』のセッション40〜42「尻締めスクワットを究める」で解説しています。興味のある方は、こちらをご覧になってください。
しばらく動きづくりブログをご無沙汰してしまいました。
東日本大震災の影響で3月下旬は仕事のキャンセルがあり、その分じっくりと時間をかけて『季刊パーソナルトレーニング』第13号(2011年春号)に掲載された「どうしたら肩を緩められるのか?−呼吸における胸郭の動きとインナー・マッスル」に取り組みました。
その内容を簡単に紹介してみましょう。
肩の構造を見てみると、胸郭の上に肩甲骨と鎖骨が乗っており、そこに腕がぶら下がっています。つまり、肩甲骨と鎖骨は常に腕の重さで下に引っ張られているのです。そのため、肩甲骨を挙上する僧帽筋などが常に引き伸ばされ、肩こりを引き起こし、なかなか緩みません。
また、こうした状況になると、本来肩甲骨を下に引き下げる小胸筋や前鋸筋といった肩のインナー・マッスルが伸ばされなくなって固まってきてしまいます。その上これらの筋肉は呼吸筋として働き、吸気のときに胸郭を広げる動きをしてしまいます。その結果、肩甲骨は下に下がったまま胸郭に張り付いてしまい、肩甲骨が動かない胸を張った姿勢になってしまいます。そして無意識に行っている呼吸で知らず知らずのうちにさらにその姿勢を強めてしまっているのです。したがって、ただ単に肩を動かすようなエクササイズをするだけでは肩を緩めることはできません。
こうした状態を改善するためには、まずは胸を張らずに胸郭を絞り、背中を膨らませるように呼吸し、肩甲骨を胸郭から浮かせるようにすることが必要になってきます。こうした呼吸を“背式呼吸”と呼ぶことにしました。
この背式呼吸を行って頸椎から胸椎の動きを出し、それから肩のインナー・マッスルのコンディショニング・エクササイズを行うと、なかなか緩まなかった肩のだんだんと緩んでいくようになってきます。
最後に、背式呼吸を行うためのエクササイズおよび肩のインナー・マッスルのコンディショニング・エクササイズを紹介しています。
興味のある方は『季刊パーソナルトレーニング』第13号(2011年春号)をご覧になってください。
先日2週にわたって(3/5、6および3/12、13)鳥取県のボート選手に動きづくりの講習会を行ってきました。
ボート選手を指導するのは初めてのことで、何をどう伝えたらいいのかわからなかったので、とりあえずいつものようにインナー・マッスルのコンディショニングについて話をしました。他種目の選手と同じようにやはりインナー・マッスルが硬くなってうまく動かない選手が多く、初めてインナー・マッスルを触ってその硬さや痛さにビックリしていました。
指導者の方といろいろと話をしていくと、ボート漕ぎ(ロウイング:rowing)のイメージがだんだん湧いてきました。
ロウイング(rowing)というとウェイト・トレーニングのシーティッド・ロウイングなどの上背部を鍛えるエクササイズを思い浮かべ、ついつい上半身で引くというイメージになってしまいがちです。しかし、実際のボート漕ぎのロウイング(rowing)では、上半身以上に下半身の動きが重要とのことでした。膝を引きつけて股関節をたたみ、手をオールに引っかけてぶら下がるようにしながら脚を伸ばし、そこから上半身で引き込むといった感じになるそうです。したがって、ウェイト・トレーニングでのロウイングというよりもデッド・リフトに近い動きをすることになるのです。
ただ、最近になって鳥取のコーチ陣が漕ぎ方を思い切って変えたのだそうです。それによると今までは、膝を引きつけて股関節をたたむというよりも膝をある程度曲げたら上半身を前傾してそこから引き起こすように漕いでいたそうです。いわゆるかなり上半身を前傾させたデッド・リフトのイメージです。それが、膝を十分に曲げて引きつけ股関節をしっかりとたたんで上半身を真っ直ぐに保ったまま脚を伸展することで漕ぐようにしたとのことです。これは上半身を真っ直ぐに保ったままのデッド・リフト、むしろ私がいつも推奨している“尻締めスクワット”の動きに近くなります。
そこで、講習会の最後の方では、この尻締めスクワットについて指導していきました。そのポイントは以下の2つです。
(1)お腹の力を抜いて仙骨を締め、お尻をできるだけ両足のかかとの間に落としていく。
(2)股関節を内旋して(内側にねじり)、膝を腰幅に保ってかかとを浮かせないように気をつける。
この2つの動きが同時にできたときには上半身を真っ直ぐに保ったままの“尻締めスクワット”ができるようになります。そのためには、とにかくお腹の力を抜くことが大切なのです。このスクワットは“ワイド・スタンス・ナロー・スクワット”として「未来トレーニング塾第28回ドライブ4」で紹介しています。
なかなか1回の講習ではうまくできないのですが、今回2週にわたって参加してくれた選手がいて、かなりうまく尻締めスクワットができていました。こうした選手がボートに乗ったときのどんな感じで漕いでくれるのか楽しみです。
10月より宮城県の高校ハンドボール部をバスケットボール部とともに指導することになりました。
顧問の先生とお話をしてみると、ハンドボールもバスケットボールと類似した動きが多くあるとともに、ディフェンスのときにはコンタクト(身体接触)するように強くサイド・ステップを踏んでオフェンスを捕まえるなど、バスケットボール同様あるいはそれ以上に素早く力を出せるようなカラダの使い方が必要になってくることがわかりました。
最初の指導から2ヵ月半くらい立った12月の後半に3回目の指導に行きました。まだまだ、何をやっているのかよくつかめていないけれど、毎日のようにインナー・マッスル・コンディショニング・エクササイズを継続していてくれたようです。
その日は、「こいつが変わってくれたらいいのになぁ~」と先生がいう選手を試技に使いながらいつものようにコンディショニング・エクササイズを解説していきました。最近になって特に力を入れている「お腹の力を抜いて仙骨を締める」動きを習得するために、“スタンディング・ロール・アップ”というエクササイズを行ったところ、この選手の腰の辺りが丸まるようになり、腰椎から仙骨にかけて多裂筋がストレッチされてうまく動くようになってきました。
この後、アシスティッド・スクワットを行ってみたところ、お腹の力を抜いて仙骨を締めたまましゃがみ込むことができたため、上半身を真っ直ぐに保ったまま両足のかかとの間にお尻を落とせるようになりました。こうなると立ち上がるときも簡単にお腹の力を抜いて仙骨を締めることができ、以前までアシスティッド・スクワットをやって死にそうになっていたのがウソのようでした。本人もものすごく楽にできて足が軽くなったと言っていました。
この指導が終わって4日後に先生と連絡をとったところ、試技に使った選手が指導後に激変したとのことでした。今までどうしても遅かったシュート動作が指導の次の日から見違えるように速くなったとのこと。いろいろと聞いてみると力を入れるタイミングが早くなったようで、今までシュートできなかった局面でも素早くシュートができるようになったとのことです。
その成果が出たのが、1月の初めに行われた東北大会の予選。新人戦の決勝で負けたチームを破って優勝することができたそうです。
おめでとうございます。
新年あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします。
新年もすでに2週間以上も過ぎてしまいました。遅ればせながらご挨拶を。
昨年12月26日で有限会社ファーストステップは17周年を迎えることができました。これもひとえに皆さまのおかげだと感謝しております。
これからもスポーツ現場の選手や指導者に役に立つ基礎・基本となるような情報を提供できるようがんばっていきたいと思います。 今後ともよろしくお願いいたします。
引き続き『月刊バスケットボール』連載20周年記念キャンペーンを実施しております。
単行本『動きづくり革命part1』(税込1,000円)、『動きづくり革命part2』(税込1,575円)および小冊子『動きづくり革命』(税込500円)を3冊セットで2,500円(税込)にて販売しています。ご希望の方は下記の方法で申し込みください。
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