Archive for the Category ◊ 体幹 ◊

Author: admin
• 日曜日, 2月 12th, 2012

前々回にブログで紹介した『季刊パーソナルトレーニング』に掲載された「小・中学生にやってもらいたいスポーツでうまくなるための動きづくりエクササイズ」では「よく動く選手と動かない選手の違い」についても触れました。それを紹介してみましょう。


●よく動く選手と動かない選手の違い

長年指導してきた中でわかってきたことですが、よく動く選手と動かない選手の最も大きな違いは次の二つの動きに表れます。

(1)体幹部を締める力

いわゆる“腹筋・背筋”といわれる腹直筋や脊柱起立筋が発揮する力ではなく、インナーユニットと呼ばれる腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群などの呼吸に関わる体幹部のインナーマッスルの発揮する力です。これらの筋肉の力の入れ方は、“お腹を絞る”、“へその下に力を入れる”、“仙骨を締める”といったような表現になり、アウターマッスルである腹直筋や脊柱起立筋で体幹部を丸めたり、反らしたりする力の入れ方とは明らかに異なります。

(2)肩関節・股関節をねじる力

球関節である肩関節と股関節は、屈曲・伸展、内転・外転、内旋・外旋と三方向の動きをします。このうちねじる動きである内旋・外旋は、主に肩関節・股関節のインナーマッスルが働くことによって行われる動きです。これらの筋肉は関節が外れてしまわないように固定する役割を持っており、硬く動かなくなると詰まりを感じて可動域が制限されてしまいます。また、うまく働かずに緩くなりすぎると固定力が低くなり、アウターマッスルが力を発揮できなくなってしまいます。


よく動く選手は、インナーマッスルがうまく働いているため、体幹部を締める力と肩関節・股関節をねじる力が強く、こうした筋群を触ってみても非常に柔らかく緩んでいます。それに対して動かない選手は、体幹部が締まらず、肩関節・股関節がうまくねじれなくなっています。

そこでここでは、この二つの力をうまく発揮できるように体幹部や肩関節・股関節のインナーマッスルのコンディショニングエクササイズを紹介します。これらの筋肉を緩めうまく働くようにコンディショニングできれば、だんだんと「自分のカラダを自分が思ったとおりに自由自在に扱う」ことができるようになっていくことでしょう。

(『季刊パーソナルトレーニング』第16号(2012年冬号)p.107〜109)


先日ブログでも紹介しましたが、西武ライオンズの中島裕之選手はまさにここで挙げている「体幹部を締める力」と「肩関節・股関節をねじる力」がとてつもなく強いのです。

レッグ・レイズという足上げの腹筋運動を行うと腰が床から浮いてしまう選手も多いのですが、中島選手はまったく浮かず、いわゆるピラティスの“ザ・ハンドレッド”の状態を何食わぬ顔をして行っていました。

また、最近よく行わせているうつ伏せになって膝を90度に曲げ、膝を閉じたままかかとを開いていく“プローン・インターナル・ローテーション”という動きを行わせると股関節の横にある小臀筋に力が入り、しっかりと内旋してきます。多くの選手、特に男子選手では股関節の内旋ができず、わずかに開いただけでまったく動かなくなります。ところが、中島選手は床から45度くらいのところまで自分の力で開く(内旋する)ことができるだけでなく、そこからお尻を締めてかかとを閉じる(外旋する)力も今まで見た選手の中ではずば抜けて高いのです。


こうした2つの力を高めるべくさまざまなエクササイズを考えてきましたが、最近になって非常に効果的な股関節外旋筋群のストレッチを開発しました。これについてはまた改めて紹介したいと思います。

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• 月曜日, 2月 06th, 2012

1月の後半、2年ぶりに西武ライオンズの中島裕之選手が弊社にやってきました。

中島選手は、西武ライオンズ入団当時から私のところにちょこちょこやってきて、トレーニングやコンディショニングを学んでいました。

拙著『インナーマッスルを使った動きづくり革命パート2』ではセッション38で野球のスイングについて触れているのですが、ここに出てくるプロ野球選手とは彼のことです。普段バスケットボール選手を多く見ている私にとって、中島選手は今まで見たことのないほどの身体能力を持っていて、そのすごさに驚かされるばかりです。その一部を紹介するために『動きづくり革命パート2』から引用します。


「実は、先日も私が指導しているプロ野球選手が股関節の違和感を訴えてやってきました。彼は、50mを5秒7で走るほどの能力を持った選手で、私がまだまだインナーマッスルのことがよくわかっていない頃から『仙骨の周辺と股関節の付け根のあたりに力が入れば、もっと速く走れますよ!』といった感覚を持っていました。よく見ているとわかるのですが、調子が悪くなってくると股関節のインナーマッスルがうまく働かなくなり、大腿四頭筋の張りがとれずに太ももが太くなってきます。

『左股関節がひっかかってうまくねじれないため、左脚が長くなった感じで腰がうまく乗らない。スイングの後半で骨盤がうまく回らずに伸び上がってしまう』と言っていたので、ストレッチを行ってみると確かに左股関節が緩く、インナーマッスルに力が入らない状態になっていました。また、スクワットを行ってもお尻が後ろに突き出てしまい、両足のかかとの間に落とすことができなくなっていました。アブドミナル・スクイズで体幹部のインナーマッスルを締めて、ダイアゴナル・レッグ・レイズなどコンディショニング・エクササイズを行うと、徐々に股関節のインナーマッスルに力が入り出し、スクワットをやってもお尻が後ろに出なくなってきました。こうなるとだんだんと股関節のひっかかりがなくなってきてスムーズに骨盤が回るようになってきました。

この選手の例から股関節のインナーマッスルが腰のキレに大きく関与していることがわかるでしょう。

また、次のようなインナーマッスルに関する興味深い話をしていました。

『昨シーズンは三振が多かったんだけど、その原因はわかっているんです。それは仙骨の周辺に力が入らなかったことなんです。ここに力が入らないからスイングを止めることができずにバットが流れてしまい、手を出さなくてもよいボールにも手が出てしまったんです。』

これは私が“仙骨を締める”と言っている力の入れ方で、体幹部のインナーマッスルである多裂筋の話なのです。力が入らなかったといっても平凡な選手に比べたらしっかりと力が入っているのですが、この選手としては入っている感じがしなかったということでしょう。このように、インナーマッスルはバッティングにおいても重要な役割を果たしているのです。」


今回は、久々にやってきたため、最初のうちはちょっときついようでしたが、3回目にはかなりカラダが締まり、いい感じになっていました。特に驚くべきことは、やはりインナーマッスルの強さです。“よく動く選手と動かない選手の違い”ということを先日紹介した「小・中学生にやってもらいたいスポーツでうまくなるための動きづくりエクササイズ」『季刊パーソナルトレーニング』第16号-2012年冬号)でも書いたのですが、“体幹部を締める力”および“股関節と肩関節をねじる力”がとてつもなく強いのです。普段見ているバスケットボール選手では出せないような力を発揮する中島選手を見て、超一流選手というのはやはりこうした資質を持っているのだと改めて感心しました。


今はキャンプ中ですが、しっかりとカラダを作って今シーズンがんばってほしいですね。そして来年こそ大リーグに挑戦してもらいと思います。

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• 月曜日, 1月 30th, 2012


『季刊パーソナルトレーニング』第16号(2012年冬号)に「小・中学生にやってもらいたいスポーツでうまくなるための動きづくりエクササイズ」が掲載されました。

その冒頭部分を紹介してみましょう。


●はじめに

先日、ある高校でバスケットボール選手にインナーマッスルからの動きづくりを指導していたところ、それを見に来ていたある先生が私に次のようなことを言ってくれました。


「このチームの選手たちはすごく力強く安定した姿勢が取れますよね。インナーマッスルの動きづくりで今まで感じることができなかった仙骨の動きや正しいカラダの使い方を学ぶと、こんなにも姿勢がよくなるんですね。

みんなこうした仙骨の動きや正しいカラダの使い方を知らないで高校に入ってくるけど、小学生や中学生の頃からこうした使い方を学ぶことができれば高校でこんなに時間をかけなくても済むんでしょうね。そうすれば、もっと日本のスポーツのレベルが上がるのに…。

小・中学生にインナーマッスルからの動きづくりを学ばせることはできないんですかね?」


主に高校生や大学生を指導している私が感じているのは、この先生が言うように、こうした選手たちがさまざまなスポーツを始めた頃にこの指導と出会っていればなあということです。私がやっているバスケットボール塾では、小学生から高校生までの選手を指導していますが、教えたことがすぐできるようになるのはやはり小学生の高学年くらいです。運動学習の黄金期(ゴールデン・エイジ)と言われるこの時期は運動共感能力が高く、理屈抜きで見た動きを簡単にカラダで表現することができるのです。

そこで、こうしたゴールデン・エイジの時期になんとか仙骨の動きや正しいカラダの使い方を習得できるようにならないかと考え、その最も基礎となるインナーマッスルの動きを感じ取ってもらいながら行えるようなエクササイズを「小・中学生にやってもらいたいスポーツでうまくなるための動きづくりエクササイズ」としてまとめてみました。


このように書いた後に、

「どうしてスポーツでうまくなれないのか?」

「よく動く選手と動かない選手の違い」

「体幹部のインナーマッスルが最重要」

「コンディショニングエクササイズの反復必要性」

「1日15分、2週間×4ステップ」

といった項目が続き、コンディショニング・プログラムの解説に入っていきます。



興味のある方は『季刊パーソナルトレーニング』第16号(2012年冬号)をご覧になってください。

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• 水曜日, 1月 04th, 2012

本日、オールジャパン3日目の試合がありました。
昨日、鶴屋百貨店に勝った金沢総合高校は、社会人1位の秋田銀行と対戦し、69対50で快勝し、オールジャパンでベスト8に入りました。高校生チームがベスト8に入るのは、49年ぶりだそうです。


秋田銀行は、一見すると金沢総合高校よりも身長も高く、体格もガッチリしていていかにも強そうな感じがするのですが、ゲームが始まるとこれはいけそうだと思えるようになりました。それは、体格の大きさやパワーの強さということよりも“動きの質”が明らかに違うからです。

インナー・マッスルからの動きづくりを行っている金沢総合高校の選手は一見するとカラダが細くきゃしゃなイメージがあるですが、体幹部のインナー・マッスルから力を出しているために瞬間的にすばやく動くことができるのです。

一方、秋田銀行の選手は、身長も高く、体格もガッチリしていていかにも鍛え込んでいるという感じなのですが、アウター・マッスルにばかり力が入っているため、動き出しが遅く、動きがとても重く感じるのです。


最も大きな違いはやはりディフェンスに出てきました。足がよく動く金沢総合高校のディフェンスは、ボールマンに対して間合いを詰めてもしっかりと一歩目が出るので抜かれずについて行くことができます。また秋田銀行の選手のドライブも動きが重くて素早さに欠けるためなかなかうまくノーマークをつくることができず、ロースコアーゲームになっていきました。

一方、秋田銀行のディフェンスは、センターの宮沢にボールを持たせないようにカラダの強さで抑えようとするのですが、瞬間的な動きにまさる宮沢がドライブからジャンプ・シュートをするとまったく対応ができないといった状況でした。


金沢総合高校の選手たちのカラダの強さに関してこのままでよいと思っているわけではありません。しかし、ただ筋力をアップさせようとウェイト・トレーニングをすると秋田銀行の選手のように“しなやかでキレのある動き”を失ってしまう可能性があるのです。バスケットボールで確かに“筋力・パワー”は欠かせないものであるが、もっと欠かすことができないのが“しなやかさでキレのある動き”なのです。こうした動きがあって初めて筋力・パワーが生きてくるのです。


以前にもブログに書きましたが、金沢総合高校の選手は30〜40㎏程度の重量でしかスクワットをしていません。それでも彼女たちはとっては非常にきついトレーニングなのです。その秘密は、スクワットのフォームにあるのです。お尻を後ろに突き出さず、両足のかかとの間に落としていく“尻締めスクワット”はしっかりとインナー・マッスルが働くようにならなければ正しいフォームでできません。このスクワットがしっかりとできるようになるとディフェンスのステイ・ローの姿勢でも上半身を前傾せずにまっすぐ構えることができ、足もたやすく動くようになってくるのです。


バスケットボールのコーチのみなさん!! 早く気づいてください。

ウェイト・トレーニングで筋力アップすることよりもまずは動きづくりが必要なことを!

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• 月曜日, 12月 05th, 2011

11/26(土)〜12/2(金)にかけてドイツに行ってきました。


26、27日は、ヴュルツブルグに行き、ドイツの1部リーグ “s.Olivre Baskets”の練習および公式戦を見て来ました。このチームは今年度からJBLのトヨタ自動車を優勝させた経験があるジョン・パトリック氏がヘッドコーチを務めています。NBAで活躍中のノビツキー選手の出身クラブチームだったのですが、一時期弱くなってつぶれてしまい、4部から再スタートし、昨年1部に昇格したそうです。


26日は、試合の前日の練習で軽めに流すのかなと思っていましたが、かなりハードに当たり合いながらやっていました。明日の対戦相手のチームに対してのディフェンスを繰り返し確認していました。


27日の午前11時からシュート・アラウンドを行い、ここでもまた軽く流すのではなく、けっこうハードに練習を行っていました。ジョン・パトリック氏によるとハードにディフェンスを行いたいので、流すのではなくいつもアクティブに練習を行っているということでした。

興味深かったのは、この練習のアップの中でポイント・ガードの選手がやっていたスタビリティー・エクササイズ。丁度、今あちらこちらでシングル・レッグ・デッド・リフトやシングル・レッグ・スクワットを指導しているところで、同じようなことをドイツのプロ選手が行っていました。


午後5時からゲーム開始ということで、4時過ぎに行ってみると3,500人入るアリーナが満員でものすごい人気です。今シーズンは6勝3敗で18チーム中5位と好成績を納めているだけに地元の期待も高く、ホームゲームは1カ月先まで満員でチケットが取れない状態だと言っていました。


対戦相手はEnBW Ludwigsburgという能力も身長もs.Oliverよりも高いチーム。ゲームの方は、第1ピリオド、間合いを詰めた激しいディフェンスでしっかりと守り、アウトサイドからのシュートが決まってリードして終わるものの第2ピリオドで追いつかれ同点で折り返しました。第3ピリオドは、相手にリードされそうになったところをなんとかディフェンスでしのぐものの、こちらも得点が伸びず、一進一退の攻防が続き、残り数分のところで3ポイントシュートが2本決まり、リードして終了。第4ピリオド、相手がディフェンスを前からしかけてくるものの、しっかりとプレス・ダウンして相手につけいる隙を与えず、きっちりとディフェンスで守り抜き、67対58で快勝しました。

ジョン・パトリック・コーチはまだまだダメなところがあって危なかったとコメントしていたが、観客を魅了するナイス・ゲームでした。観客はみんな総立ちで応援をし、座っている時間の方が短いというくらい盛り上がっていました。

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• 金曜日, 12月 02nd, 2011

10/28(金)に今年のインターハイを優勝した金沢総合高校の女子バスケットボール部を指導にいきました。


そこで、以前から行わせていた“スタンディング・ロール・アップ”というエクササイズを再確認しようと、キャプテンでエースの宮沢選手に試技をさせながらみんなに解説をしました。


「バーベルを持ってまっすぐに立った状態からアブドミナル・スクイズをするようにお腹の力を抜いて“仙骨を締め”、お腹から折れていくように前屈していって。そうすると腰から背中が丸まって突っ張る感じが出てくるでしょう。特に腰椎から仙骨にかけてついているインナー・マッスルである多裂筋のあたりをストレッチしたいんだ。これが伸びて緩んでくるとよりお腹を絞ることができ、仙骨の動きを感じることができるようになるからね。

デッド・リフトではないから太ももの裏側が突っ張らないようにしてほしいんだけど、そうするためには以前からしつこく何回も言っているけど、しっかりと“仙骨を締める”ことが大切なんだ。」


このように解説しながら何回か試技を行わせた後、みんなにやってみるよう指示した直後に宮沢選手が、


「森川さん、わかりました。“仙骨を締めれば”いいんですね!!」


と目を輝かすように言ってくるのです。私は大笑いながら、


「今頃わかったの? だって、そんなの入学したときからずっと言い続けていることだよ。」


と返しました。


しかし、彼女がわかりきったこの“仙骨を締める”ということばを発したのには大きな意味があるのです。彼女はなんとなくわかったつもりになっていた “仙骨を締める”という感覚に本当の意味で初めて共感し、自分のカラダの内部感覚的な大きな“発見”をしたのです。いわゆる“腑に落ちる”といった感じでしょうか。だから、あんなに目を輝かせていたんですね。


人間の内部感覚は、自分ひとりにしか感じることができない閉じた世界です。この閉じた世界で外側からから言われているさまざまな感覚を獲得するためには、内側の世界を自分自身で探索し、発見していくしかないのです。簡単に見つけることができる感覚もあれば、いくら探してもなかなか見つからない感覚もあるのです。だからといってその探索では、他人はいろいろとアドバイスできるものの、最終的には他の誰も助けることはできません。つまり、自分ひとりの力で探し続けるしかないのです。

こうした自分のカラダを内部感覚的発見すると今までに感じることができなかった世界に触れることができ、さらなる新たな感覚の発見につながっていくのです。そうすることで今までうまくいかなかったプレーを簡単に修正できるようになり、また新しいプレーやタイミングの習得を可能にするのです。


“仙骨を締める”という感覚の発見が彼女の成長をさらに促してくれることを期待しています。

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• 日曜日, 10月 30th, 2011


『季刊パーソナルトレーニング』第15号(2011年秋号)に「動きづくりからウェイト・トレーニングを見直す-ウェイト・トレーニングをスポーツ・パフォーマンス向上に生かすために」が掲載されました。

その内容を簡単に紹介してみましょう。


この仕事を始めた頃には、筋力が高まれば、速く走れるようになる、高く跳べるようになる、もっと正確に強く速いパスやシュートができるようになると思ってウェイト・トレーニングを指導していました。しかしこれではうまくいかず、現在ではインナー・マッスルから動きを見直して正しいカラダの使い方をひとつひとつ積み重ねていき、最終的には自分の専門スポーツの動きに結びつけていくことが必要と考えています。これを私は、スポーツ・パフォーマンスを高めるための“動きづくり”と呼んでいます。動きづくりの観点からウェイト・トレーニングを見直してみると、今まで常識と言われていたこととまったく正反対のことをした方がスポーツ・パフォーマンスを高めるために役立つといったことが出てきています。そこで、従来からのウェイト・トレーニングでは常識的とされていたスクワット、ベンチ・プレスというエクササイズを動きづくりの観点から見直し、どうしたらスポーツ・パフォーマンスの向上に役立てることができるかを考えていきましょう。


ということで、まずは“ワイド・スタンス・ナロー・スクワット”という「股関節を内旋して行う尻締めスクワット」を解説し、従来から行われている膝関節伸展スクワット、股関節伸展スクワットと比較していきます。特に股関節を内旋してスクワットをすると“knee in toe out(膝が内向きでつま先が外向き)”という膝にはあまり好ましくない状態になるのですが、これは大腿骨頭が股関節の関節窩にきちんとはまって固定されるような状態をつくるという股関節の状態を優先して行うスクワットなのです。股関節がしっかりと固定されれば、“knee in toe out”の状態でも膝への負担はほとんどありません。

こうした股関節内旋の尻締めスクワットを行うことで、バスケットボールでのボールマン・ディフェンスに必要な「素早くオフェンスに反応するためのサイド・ステップ」を改善していく過程を紹介しています。


次に、“リバース・クランチ&ベンチ・プレス”という「肩甲骨を離して肩関節内旋で行うベンチ・プレス」を解説し、従来から行われている肩甲骨を寄せて行うベンチ・プレスと比較していきます。スポーツ・パフォーマンスを向上させるためには、肩甲骨の可動性・柔軟性を確保することが不可欠なのですが、従来のベンチ・プレスは胸を張って肩甲骨を寄せる姿勢で行うために、こればかりを続けていると可動性・柔軟性が失われてしまいがちです。そうした状態では肩甲骨を離そうとしても肩甲骨周辺のインナー・マッスルが硬くなってうまく動きません。また、肩甲骨の可動性・柔軟性は、胸郭(背骨と肋骨)の動きにも大きく影響を受けています。そこで、リバース・クランチで「お腹を絞って仙骨を締める」とともに「胸を絞って背中を膨らます」チェスト・スクイズを行って胸郭を動かしていくと肩甲骨をうまく離せるようになってくるのです。こうした動きがうまくできると、リバース・クランチ&ベンチ・プレスでは仙骨を締める動きでバーベルを押し上げる感覚が生まれてきます。

こうした仙骨を締めて押し上げる動きと肩甲骨を離す動きとを使って「ボールをつぶすように押すクイック・チェスト・パス」へと発展させていく過程を紹介しています。


興味のある方は『季刊パーソナルトレーニング』第15号(2011年秋号)をご覧になってください。


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• 金曜日, 10月 28th, 2011

先日(10/21)、東京都の高校新体操女子チームを指導してきました。


この指導の10日前に一度練習を見に行きましたが、顧問の先生のお話を聞いてみるとその動きの複雑さに驚くばかりで、いったい何から手をつければいいものかとちょっとばかり戸惑いました。

しかし、何人かの選手を呼んで、お腹を絞ることや股関節を内旋することなどを行ってもらうとうまくできる選手とできない選手がいるということがわかり、やはりインナー・マッスルの動きをひとつひとつ見直してみればよいのではと考えていました。

そこでその日の指導では、インナー・マッスルの解剖図を見てカラダのどこにどんな筋肉があってどういう動きをしているのか、インナー・マッスルを触りながら解説していきました。実際にインナー・マッスルに触ってみると予想以上に硬い選手が多く、他の競技のスポーツ選手と同じようにけっこう痛がっていました。前後開脚をすると180°以上に開くにもかかわらずインナー・マッスルが柔らかいわけではないのです。

いつものように腸腰筋などを刺激して動かしていくとだんだん緩んでいったので前後開脚していつもと違いが出たかどうか質問してみました。すると、開脚するのはいつもとあまり変わらないということなので、そこから立ち上がってもらうと「えっ、すごい、すごい力が入る!」という答えが返ってきました。その後も股関節周りのインナー・マッスルを動かしていくと

「脚がいつもより上がる!」

「太ももが細くなった!」

「ヒップ・アップした!」

といった反応がどんどんと出てきました。顧問の先生も「すごい、すごい、こんなに変わるなんて…」と驚いていました。

次に肩のインナー・マッスルを触っていくと、股関節以上に硬くなっていました。というのは、胸を張るのがよい姿勢であるためにいつも肩甲骨を後ろに寄せてしまっており、肩甲骨が胸郭に張り付いて剥がれないような状態になっている選手が多く、前鋸筋を触ると跳び上がるほど痛がっていました。肩甲骨が動かなくなっているため肩こりがひどい選手もおり、

「肩が軽くなった!」

「腕がよく回る!」

「血液が流れてぽかぽかしてきた」

といった反応がありました。

最後に体幹部のインナー・マッスルを緩めるために、力を抜いて呼吸しながらお腹を絞る“アブドミナル・スクイズ”を紹介し、壁に脚を立てかけて行うウォール・アブドミナル・スクイズ、壁に寄りかかるように座って行うシーティッド・アブドミナル・スクイズを繰り返しました。なかなか腹直筋の力が抜けない選手もいましたが、徐々に力が抜けていき、床の上に仰向けになるとだんだんと背中が床に着くようになってくるのを確認しました。

「カラダがだるくなった」

「眠くなってきた」

「カラダが暖かくなってきた」

といった反応が多く、呼吸だけでカラダがこんなにも変わるんだということに驚いていました。


数日後、顧問の先生から以下のようなメールが送られてきました。

「前回のトレーニング後、生徒たちは自分たちの体にとても興味を持ったようでとても有意義な時間になりました。」


これまでに新体操女子選手の指導は行ったことがないために、今後どうなっていくかが楽しみです。ブログにてまたご報告します。



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• 火曜日, 10月 25th, 2011

先日(10/13)に恵比寿で加圧トレーニングやピラティスなどを指導されている(株)rinatoの研修会に呼ばれて主に股関節内旋の尻締めスクワットを指導してきました。

(株)rinatoの代表である森さんは、私の書いた『インナー・マッスルを使った動きづくり革命パート1、パート2』を読んで、研修会をしてくださいと連絡してきてくれました。当日は森さんと男性スタッフと女性スタッフそれぞれ1名の3名が参加してくれました。

始める前に森さんと話をしましたが、加圧トレーニングやピラティスも長所と短所があるということでした。
加圧トレーニングは筋力アップにはよいのですが、脚のつけ根を縛り付けるため、股関節が詰まったような感覚になり、これだけやっていると股関節の動きが出にくくなるそうです。そこで、しっかりと股関節を動かすようなスクワットをさせているのですが、それで股関節の状態がよくなると加圧トレーニングの効果がさらに出やすくなるとのことでした。
また、ピラティスは深層筋であるインナー・マッスルを鍛えるのにはよいのですが、ほとんど脚が床に着かないオープン・キネティックの動きなので、日常生活でのカラダの使い方などの改善にはなかなかつながってこないそうです。したがって、脚を床に着けたクローズド・キネティックな動きのスクワットやランジなどでどのようにインナー・マッスルを使うかということも指導する必要があり、今回の研修をお願いしたとのことでした。

私が指導しているのは、ほとんどスポーツ選手のためフィットネスの指導者であるパーソナル・トレーナーに何をどのように伝えればよいかわからなかったのですが、こうした森さんの言葉にとりあえずいつも教えている尻締めスクワットのやり方を教えていくことにしました。

まず始めに股関節内旋の尻締めスクワットであるワイド・スタンス・ナロー・スクワットを行ってもらうと、股関節が詰まって深くしゃがみ込むことができませんでした。これは、股関節の外旋筋群が硬くなって股関節を内旋するときにそこが伸びず、大腿骨頭が前にずれてきてしまうからだということを説明し、その後、外旋筋群のストレッチを行いました。しかし、ストレッチをしてもなかなか緩まないため、外旋筋群のひとつである外閉鎖筋を押しながら動かすダイレクト・ストレッチを行いました。かなり硬くなっている森さんと男性スタッフはかなりの痛みに悶絶していましたが、ここが緩んだ状態でワイド・スタンス・ナロー・スクワットを行うと股関節が内旋してなんとかしゃがみ込むことができました。
外旋筋群が硬くなっているのは、内旋筋である小臀筋がうまく働かないからだということを解説したのち、小臀筋のコンディショニング・エクササイズを紹介しました。ところが、小臀筋になかなか力が入りません。
そこで、股関節のインナー・マッスルに力が入らないのは、呼吸で使われる体幹部のインナー・マッスルがしっかりと締まらないからという説明をした後、体幹部のインナー・マッスルを締めるアブドミナル・スクイズを解説しました。アブドミナル・スクイズを行うと体幹部のインナー・マッスルが働き、仙骨が奥に入っていくように動くことを確認してもらいました。こうした状態で再び小臀筋のエクササイズを行うと少しずつ力が入ってくるようになりました。再びワイド・スタンス・ナロー・スクワットを行ってもらうと小臀筋に力が入るようになり、かなりスムーズに深くしゃがみ込み、お尻を締めて立ち上がることができるようになりました。

森さんには、「ピラティスで学んだことを別の角度から解説してもらいながら確認できて非常におもしろかった」と言ってもらえました。私としては、誰かから教わったわけではなく、指導をしていてうまくいかないことを修正していったことを伝えたのですが、こうした評価をもらえて自分が考えたことが間違っていなかったのだということを確認できました。

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• 金曜日, 9月 09th, 2011

先日(8/22,23)に高知の高校女子チームを指導しに行ってきました。

そこでは、この1カ月くらいで指導している“脇腹を絞る”アブドミナル・スクイズに時間をかけました。


アブドミナル・スクイズ(一般的にはドロー・インと呼ばれていますが)は、最初の段階でお腹の力を抜いてリラックスして呼吸するようにと伝えていました。こうしていると自然と体幹部のインナー・マッスルが徐々に働いて腹直筋や脊柱起立筋が緩んでくるのですが、ある程度のところまでいくとなかなか緩んでこなくなります。どうしたらもっとうまく緩むようになるのだろうと思考錯誤していたところ、うまく緩む選手と緩まない選手の違いがわかってきました。それが脇腹を絞ることができるかどうかなのです。

うまく緩んでくる選手は、きちんと脇腹を引っ込めるように絞ることができるのに対し、緩まない選手は脇腹が硬く、手で押さえても引っ込んできません。そこで、パートナーに脇腹を押さえてもらって息を吸うときも吐くときも脇腹を引っ込めるつもりで絞るようにしていきました。

最初のうちはどこに力を入れればよいかわからずにかなり苦しんでいましたが、特に肋骨の下あたりを引っ込めることができるようになってくると仙骨が締まり、へその下の奥の方(いわゆる臍下丹田とよばれるところ)に力が入ってくるのがわかってきます。こうなると天然のコルセットである腹横筋がしっかりと働くようになるため、お腹周り全体が絞られてきて肋骨と骨盤の間が広がり、腰椎の前弯が弱くなって姿勢がよくなります。


初日の午後はかなりの時間をアブドミナル・スクイズに費やし、脇腹を絞る感覚を身につけるべく、さまざまな姿勢で行ってもらいました。

「これがしっかりできるとウエストが細くなるからね」

という私のことばに

「本当に細くなるんですか? それなら、がんばろう!」

と半分冗談っぽく言いながらやっている選手がいました。

ところが次の日になってある姉妹選手の妹が

「きのううちに帰ってウエスト計ったら、5センチも細くなっていて、体重も2キロ減っていた。姉ちゃんも同じだった」

というのです。みんなは、

「え〜〜っ! すごいね!」

と驚いていましたが、普段あまりうまく働いていない腹横筋がしっかりと働いた結果なのです。

そこで私は一言、

「続けないと元に戻っちゃうからね!」

と釘を刺しておきました。

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