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• 金曜日, 12月 02nd, 2011

10/28(金)に今年のインターハイを優勝した金沢総合高校の女子バスケットボール部を指導にいきました。


そこで、以前から行わせていた“スタンディング・ロール・アップ”というエクササイズを再確認しようと、キャプテンでエースの宮沢選手に試技をさせながらみんなに解説をしました。


「バーベルを持ってまっすぐに立った状態からアブドミナル・スクイズをするようにお腹の力を抜いて“仙骨を締め”、お腹から折れていくように前屈していって。そうすると腰から背中が丸まって突っ張る感じが出てくるでしょう。特に腰椎から仙骨にかけてついているインナー・マッスルである多裂筋のあたりをストレッチしたいんだ。これが伸びて緩んでくるとよりお腹を絞ることができ、仙骨の動きを感じることができるようになるからね。

デッド・リフトではないから太ももの裏側が突っ張らないようにしてほしいんだけど、そうするためには以前からしつこく何回も言っているけど、しっかりと“仙骨を締める”ことが大切なんだ。」


このように解説しながら何回か試技を行わせた後、みんなにやってみるよう指示した直後に宮沢選手が、


「森川さん、わかりました。“仙骨を締めれば”いいんですね!!」


と目を輝かすように言ってくるのです。私は大笑いながら、


「今頃わかったの? だって、そんなの入学したときからずっと言い続けていることだよ。」


と返しました。


しかし、彼女がわかりきったこの“仙骨を締める”ということばを発したのには大きな意味があるのです。彼女はなんとなくわかったつもりになっていた “仙骨を締める”という感覚に本当の意味で初めて共感し、自分のカラダの内部感覚的な大きな“発見”をしたのです。いわゆる“腑に落ちる”といった感じでしょうか。だから、あんなに目を輝かせていたんですね。


人間の内部感覚は、自分ひとりにしか感じることができない閉じた世界です。この閉じた世界で外側からから言われているさまざまな感覚を獲得するためには、内側の世界を自分自身で探索し、発見していくしかないのです。簡単に見つけることができる感覚もあれば、いくら探してもなかなか見つからない感覚もあるのです。だからといってその探索では、他人はいろいろとアドバイスできるものの、最終的には他の誰も助けることはできません。つまり、自分ひとりの力で探し続けるしかないのです。

こうした自分のカラダを内部感覚的発見すると今までに感じることができなかった世界に触れることができ、さらなる新たな感覚の発見につながっていくのです。そうすることで今までうまくいかなかったプレーを簡単に修正できるようになり、また新しいプレーやタイミングの習得を可能にするのです。


“仙骨を締める”という感覚の発見が彼女の成長をさらに促してくれることを期待しています。

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• 日曜日, 10月 30th, 2011


『季刊パーソナルトレーニング』第15号(2011年秋号)に「動きづくりからウェイト・トレーニングを見直す-ウェイト・トレーニングをスポーツ・パフォーマンス向上に生かすために」が掲載されました。

その内容を簡単に紹介してみましょう。


この仕事を始めた頃には、筋力が高まれば、速く走れるようになる、高く跳べるようになる、もっと正確に強く速いパスやシュートができるようになると思ってウェイト・トレーニングを指導していました。しかしこれではうまくいかず、現在ではインナー・マッスルから動きを見直して正しいカラダの使い方をひとつひとつ積み重ねていき、最終的には自分の専門スポーツの動きに結びつけていくことが必要と考えています。これを私は、スポーツ・パフォーマンスを高めるための“動きづくり”と呼んでいます。動きづくりの観点からウェイト・トレーニングを見直してみると、今まで常識と言われていたこととまったく正反対のことをした方がスポーツ・パフォーマンスを高めるために役立つといったことが出てきています。そこで、従来からのウェイト・トレーニングでは常識的とされていたスクワット、ベンチ・プレスというエクササイズを動きづくりの観点から見直し、どうしたらスポーツ・パフォーマンスの向上に役立てることができるかを考えていきましょう。


ということで、まずは“ワイド・スタンス・ナロー・スクワット”という「股関節を内旋して行う尻締めスクワット」を解説し、従来から行われている膝関節伸展スクワット、股関節伸展スクワットと比較していきます。特に股関節を内旋してスクワットをすると“knee in toe out(膝が内向きでつま先が外向き)”という膝にはあまり好ましくない状態になるのですが、これは大腿骨頭が股関節の関節窩にきちんとはまって固定されるような状態をつくるという股関節の状態を優先して行うスクワットなのです。股関節がしっかりと固定されれば、“knee in toe out”の状態でも膝への負担はほとんどありません。

こうした股関節内旋の尻締めスクワットを行うことで、バスケットボールでのボールマン・ディフェンスに必要な「素早くオフェンスに反応するためのサイド・ステップ」を改善していく過程を紹介しています。


次に、“リバース・クランチ&ベンチ・プレス”という「肩甲骨を離して肩関節内旋で行うベンチ・プレス」を解説し、従来から行われている肩甲骨を寄せて行うベンチ・プレスと比較していきます。スポーツ・パフォーマンスを向上させるためには、肩甲骨の可動性・柔軟性を確保することが不可欠なのですが、従来のベンチ・プレスは胸を張って肩甲骨を寄せる姿勢で行うために、こればかりを続けていると可動性・柔軟性が失われてしまいがちです。そうした状態では肩甲骨を離そうとしても肩甲骨周辺のインナー・マッスルが硬くなってうまく動きません。また、肩甲骨の可動性・柔軟性は、胸郭(背骨と肋骨)の動きにも大きく影響を受けています。そこで、リバース・クランチで「お腹を絞って仙骨を締める」とともに「胸を絞って背中を膨らます」チェスト・スクイズを行って胸郭を動かしていくと肩甲骨をうまく離せるようになってくるのです。こうした動きがうまくできると、リバース・クランチ&ベンチ・プレスでは仙骨を締める動きでバーベルを押し上げる感覚が生まれてきます。

こうした仙骨を締めて押し上げる動きと肩甲骨を離す動きとを使って「ボールをつぶすように押すクイック・チェスト・パス」へと発展させていく過程を紹介しています。


興味のある方は『季刊パーソナルトレーニング』第15号(2011年秋号)をご覧になってください。


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• 金曜日, 10月 28th, 2011

先日(10/21)、東京都の高校新体操女子チームを指導してきました。


この指導の10日前に一度練習を見に行きましたが、顧問の先生のお話を聞いてみるとその動きの複雑さに驚くばかりで、いったい何から手をつければいいものかとちょっとばかり戸惑いました。

しかし、何人かの選手を呼んで、お腹を絞ることや股関節を内旋することなどを行ってもらうとうまくできる選手とできない選手がいるということがわかり、やはりインナー・マッスルの動きをひとつひとつ見直してみればよいのではと考えていました。

そこでその日の指導では、インナー・マッスルの解剖図を見てカラダのどこにどんな筋肉があってどういう動きをしているのか、インナー・マッスルを触りながら解説していきました。実際にインナー・マッスルに触ってみると予想以上に硬い選手が多く、他の競技のスポーツ選手と同じようにけっこう痛がっていました。前後開脚をすると180°以上に開くにもかかわらずインナー・マッスルが柔らかいわけではないのです。

いつものように腸腰筋などを刺激して動かしていくとだんだん緩んでいったので前後開脚していつもと違いが出たかどうか質問してみました。すると、開脚するのはいつもとあまり変わらないということなので、そこから立ち上がってもらうと「えっ、すごい、すごい力が入る!」という答えが返ってきました。その後も股関節周りのインナー・マッスルを動かしていくと

「脚がいつもより上がる!」

「太ももが細くなった!」

「ヒップ・アップした!」

といった反応がどんどんと出てきました。顧問の先生も「すごい、すごい、こんなに変わるなんて…」と驚いていました。

次に肩のインナー・マッスルを触っていくと、股関節以上に硬くなっていました。というのは、胸を張るのがよい姿勢であるためにいつも肩甲骨を後ろに寄せてしまっており、肩甲骨が胸郭に張り付いて剥がれないような状態になっている選手が多く、前鋸筋を触ると跳び上がるほど痛がっていました。肩甲骨が動かなくなっているため肩こりがひどい選手もおり、

「肩が軽くなった!」

「腕がよく回る!」

「血液が流れてぽかぽかしてきた」

といった反応がありました。

最後に体幹部のインナー・マッスルを緩めるために、力を抜いて呼吸しながらお腹を絞る“アブドミナル・スクイズ”を紹介し、壁に脚を立てかけて行うウォール・アブドミナル・スクイズ、壁に寄りかかるように座って行うシーティッド・アブドミナル・スクイズを繰り返しました。なかなか腹直筋の力が抜けない選手もいましたが、徐々に力が抜けていき、床の上に仰向けになるとだんだんと背中が床に着くようになってくるのを確認しました。

「カラダがだるくなった」

「眠くなってきた」

「カラダが暖かくなってきた」

といった反応が多く、呼吸だけでカラダがこんなにも変わるんだということに驚いていました。


数日後、顧問の先生から以下のようなメールが送られてきました。

「前回のトレーニング後、生徒たちは自分たちの体にとても興味を持ったようでとても有意義な時間になりました。」


これまでに新体操女子選手の指導は行ったことがないために、今後どうなっていくかが楽しみです。ブログにてまたご報告します。



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• 火曜日, 10月 25th, 2011

先日(10/13)に恵比寿で加圧トレーニングやピラティスなどを指導されている(株)rinatoの研修会に呼ばれて主に股関節内旋の尻締めスクワットを指導してきました。

(株)rinatoの代表である森さんは、私の書いた『インナー・マッスルを使った動きづくり革命パート1、パート2』を読んで、研修会をしてくださいと連絡してきてくれました。当日は森さんと男性スタッフと女性スタッフそれぞれ1名の3名が参加してくれました。

始める前に森さんと話をしましたが、加圧トレーニングやピラティスも長所と短所があるということでした。
加圧トレーニングは筋力アップにはよいのですが、脚のつけ根を縛り付けるため、股関節が詰まったような感覚になり、これだけやっていると股関節の動きが出にくくなるそうです。そこで、しっかりと股関節を動かすようなスクワットをさせているのですが、それで股関節の状態がよくなると加圧トレーニングの効果がさらに出やすくなるとのことでした。
また、ピラティスは深層筋であるインナー・マッスルを鍛えるのにはよいのですが、ほとんど脚が床に着かないオープン・キネティックの動きなので、日常生活でのカラダの使い方などの改善にはなかなかつながってこないそうです。したがって、脚を床に着けたクローズド・キネティックな動きのスクワットやランジなどでどのようにインナー・マッスルを使うかということも指導する必要があり、今回の研修をお願いしたとのことでした。

私が指導しているのは、ほとんどスポーツ選手のためフィットネスの指導者であるパーソナル・トレーナーに何をどのように伝えればよいかわからなかったのですが、こうした森さんの言葉にとりあえずいつも教えている尻締めスクワットのやり方を教えていくことにしました。

まず始めに股関節内旋の尻締めスクワットであるワイド・スタンス・ナロー・スクワットを行ってもらうと、股関節が詰まって深くしゃがみ込むことができませんでした。これは、股関節の外旋筋群が硬くなって股関節を内旋するときにそこが伸びず、大腿骨頭が前にずれてきてしまうからだということを説明し、その後、外旋筋群のストレッチを行いました。しかし、ストレッチをしてもなかなか緩まないため、外旋筋群のひとつである外閉鎖筋を押しながら動かすダイレクト・ストレッチを行いました。かなり硬くなっている森さんと男性スタッフはかなりの痛みに悶絶していましたが、ここが緩んだ状態でワイド・スタンス・ナロー・スクワットを行うと股関節が内旋してなんとかしゃがみ込むことができました。
外旋筋群が硬くなっているのは、内旋筋である小臀筋がうまく働かないからだということを解説したのち、小臀筋のコンディショニング・エクササイズを紹介しました。ところが、小臀筋になかなか力が入りません。
そこで、股関節のインナー・マッスルに力が入らないのは、呼吸で使われる体幹部のインナー・マッスルがしっかりと締まらないからという説明をした後、体幹部のインナー・マッスルを締めるアブドミナル・スクイズを解説しました。アブドミナル・スクイズを行うと体幹部のインナー・マッスルが働き、仙骨が奥に入っていくように動くことを確認してもらいました。こうした状態で再び小臀筋のエクササイズを行うと少しずつ力が入ってくるようになりました。再びワイド・スタンス・ナロー・スクワットを行ってもらうと小臀筋に力が入るようになり、かなりスムーズに深くしゃがみ込み、お尻を締めて立ち上がることができるようになりました。

森さんには、「ピラティスで学んだことを別の角度から解説してもらいながら確認できて非常におもしろかった」と言ってもらえました。私としては、誰かから教わったわけではなく、指導をしていてうまくいかないことを修正していったことを伝えたのですが、こうした評価をもらえて自分が考えたことが間違っていなかったのだということを確認できました。

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• 金曜日, 9月 09th, 2011

先日(8/22,23)に高知の高校女子チームを指導しに行ってきました。

そこでは、この1カ月くらいで指導している“脇腹を絞る”アブドミナル・スクイズに時間をかけました。


アブドミナル・スクイズ(一般的にはドロー・インと呼ばれていますが)は、最初の段階でお腹の力を抜いてリラックスして呼吸するようにと伝えていました。こうしていると自然と体幹部のインナー・マッスルが徐々に働いて腹直筋や脊柱起立筋が緩んでくるのですが、ある程度のところまでいくとなかなか緩んでこなくなります。どうしたらもっとうまく緩むようになるのだろうと思考錯誤していたところ、うまく緩む選手と緩まない選手の違いがわかってきました。それが脇腹を絞ることができるかどうかなのです。

うまく緩んでくる選手は、きちんと脇腹を引っ込めるように絞ることができるのに対し、緩まない選手は脇腹が硬く、手で押さえても引っ込んできません。そこで、パートナーに脇腹を押さえてもらって息を吸うときも吐くときも脇腹を引っ込めるつもりで絞るようにしていきました。

最初のうちはどこに力を入れればよいかわからずにかなり苦しんでいましたが、特に肋骨の下あたりを引っ込めることができるようになってくると仙骨が締まり、へその下の奥の方(いわゆる臍下丹田とよばれるところ)に力が入ってくるのがわかってきます。こうなると天然のコルセットである腹横筋がしっかりと働くようになるため、お腹周り全体が絞られてきて肋骨と骨盤の間が広がり、腰椎の前弯が弱くなって姿勢がよくなります。


初日の午後はかなりの時間をアブドミナル・スクイズに費やし、脇腹を絞る感覚を身につけるべく、さまざまな姿勢で行ってもらいました。

「これがしっかりできるとウエストが細くなるからね」

という私のことばに

「本当に細くなるんですか? それなら、がんばろう!」

と半分冗談っぽく言いながらやっている選手がいました。

ところが次の日になってある姉妹選手の妹が

「きのううちに帰ってウエスト計ったら、5センチも細くなっていて、体重も2キロ減っていた。姉ちゃんも同じだった」

というのです。みんなは、

「え〜〜っ! すごいね!」

と驚いていましたが、普段あまりうまく働いていない腹横筋がしっかりと働いた結果なのです。

そこで私は一言、

「続けないと元に戻っちゃうからね!」

と釘を刺しておきました。

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• 火曜日, 8月 02nd, 2011

4〜7月のバスケットボール塾では、パス・ドリブルを高めるための動きづくりということで、上半身の動きを中心にコンディショニング・エクササイズからハンド・ワークを行ってきました。

チェスト・パスの動きでは、肩甲骨を寄せずに離した動きで行うプッシュ・アップからワン・ボール・プッシュ・アップ、壁を押すウォール・ワン・ボール・プッシュ・アップを行い、チェスト・パスへと発展させていきました。また、ドリブルの動きでは、肘を横に開いた状態からワキを締めるように押すボール・リバース・プッシュ・アップからボールを押し下げるボール・プッシュ・ダウン、そしてプッシュ・ダウン・ドリブルへと発展させていきました。

基本的に、肘の曲げ伸ばしで腕の筋肉を使って行うのではなく、肩甲骨を離してワキを締めるように胸から肩周辺にある筋肉を働かせてパスやドリブルを行おうというのがこの期のテーマでした。

ところが、だんだん肩甲骨を離して胸で押す動きがうまくできるようになってくると強いパスや鋭いドライブでのドリブルをするためには、脚や体幹部から上半身への力の伝動が重要になってくるのです。

実は、この力の伝動を生み出すためには“仙骨を締めて押す”動きが必要なのです。一般的には“腰を入れる”といった表現がこれにあたるのですが、腰の入ったパス、つまりは仙骨で押すパスは、腕だけの動きのパスに比べ、非常に強く速いのです。また、こうしたパスは、足を踏み出してから腕を伸ばすツー・モーション(二動作)の動きでなく、足を踏み出すと同時に押すワン・モーション(一動作)の動きになるため、タイミングが早く、ディフェンスに読まれにくくなります。その上、ワン・モーションのパスでは、パスを出しながら走り出すパス&ランの動きをスムーズに行うことができるのです。

これをドライブに応用すると、腰を入れて、つまり仙骨で押してバウンズ・パスを出しながら走り出す動きになってくるのです。ボールを手で押すと、どうしても足下にドリブルを突いて一歩が広がらなかったり、ドリブルを突くタイミングが遅れてトラベリングになってしまったり、うまくドライブできません。しかし、腰を入れて、仙骨で押してパスのようにドリブルを出すと、体幹部の近くでボールを前に押して離すため、ボールを離すタイミングが早く、なおかつ一歩が広がってくるのです。

結局、5月の後半から7月にかけては、上半身だけでなくこうした仙骨で押す動きの練習をすることになりました。


みなさんも試してみてください。


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• 火曜日, 7月 12th, 2011

先日(6月半ば)、久々に新潟に行き、高校の男子チームを指導してきました。


この高校の顧問は、以前に新潟商業高校の男子チームをインターハイで優勝に導いた佐藤先生で、私が長年お付き合いさせてもらっています。


いつものように股関節周辺のインナー・マッスルについて解説していろいろとエクササイズを行っている中、どうしてもうまくできない選手がいたため、前に引っ張り出していろいろな動きを行わせていました。その中のひとつとして股関節の内旋を行っていたのですが、どうもうまく内側にねじれないのです。

足を伸ばして床の上に座り、後ろに手を着いた状態で股関節を外側から内側に向けてねじります。このとき、大腿骨の大転子(お尻の横にある出っ張り)を触ってみると、内側にねじるときに大転子が大きく上に動いて太ももが床から浮いてしまう人が多いのです。人によって動く程度に違いがあるものの、私が指導している選手の90%以上の人が(私もそうなのですが)、このように動いてしまいます(これについては『月刊バスケットボール』の連載「未来トレーニング塾31−サイド・ステップ(1)」でも紹介しているので、動きなどがわからない場合にはこちらをご参照ください)。


ところが、佐藤先生の大転子を触って股関節を内旋してもらうと大転子がカラダの中に消えてなくなってしまうのです。佐藤先生にうまくねじれない選手の大転子を触ってもらうと、

「えっ! どうしてこんなに動くんだ? 私はそんな感じになったことがないぞ。おかしいんじゃないの?」

というのです。そこで、私が

「先生のように動く人の方がまれなんです。ほぼ9割以上の選手がこんなふうにしか動かないですよ」

と答えました。


実はこの先生は,身長が182㎝程度であったにも関わらず、バスケットボールの現役選手時代には、軽々と両手でバックダンクを決めていたほどジャンプ力がありました。私は大学1年生のときに、4年生であった佐藤先生が、210㎝の選手にセンタージャンプで勝ったのを見てビックリしたのを覚えています。いろいろとお話を聞いてみると、大学時代の走り高跳びの授業では2mを跳び、三段跳びでは15mを跳んでいたとのことでした。また、高校時代には50mを5秒6か7で走っていたというのです。

ちなみにこの他に股関節内旋で大転子がなくなるのを見たことがあるのは、プロ野球西武ライオンズの中島選手です。彼は、入団したころから知り合いに紹介されて私のところに顔を出していたのですが、やはり高校時代50mを5秒7で走っていたといっていました。


股関節を内旋したとき大転子が大きく動いてしまうは、股関節の外旋筋群が硬く伸びなくなってしまい、内旋筋である小臀筋などがうまく働かなくなってしまっているからだと考えられます。おそらく大腿骨頭がきちんと股関節の関節窩に固定されずにずれてしまっているのです。そのために、股関節周辺の筋群がきちんと大きな力を出すことができず、太ももやふくらはぎといった末端の筋肉が働いてしまうのです。

股関節の内旋がうまくできているこのふたりの選手は、太ももやふくらはぎといった末端ではなく、まさにお尻で動いているのです。

佐藤先生いわく

「太ももの前なんかあまり使った感覚がないよ。本当にお尻からハムストリングスにかけての裏側だけだよ。」


どうしたら大転子がなくなるように内旋できるのか? 今も思考錯誤が続いています。

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• 火曜日, 6月 14th, 2011

先日(6/4,5)、東日本大震災の被害が大きかった仙台に行き、大学生の指導をしてきました。

地震の1週間前に指導に行き、それ以来だったので3カ月ぶりとなってしまいました。この大学の体育館も被害を受け、もしかしたら建て直さなくてはいけないという程だったのですが、修繕すればなんとか大丈夫になったようです。

しかし、この日は大学の体育館は、修繕中ということでまだ使えず、隣にある附属高校の体育館を借りて行いました。


この日の指導は、いつも行っているインナー・マッスルのコンディショニング・エクササイズの確認と追加エクササイズの紹介、そして5月にラグビー選手を教えたのと同様、“仙骨を締めて押す”動きについて理解してもらうことでした。

まずは、壁に寄りかかって“シーティッド・アブドミナル・スクイズ”を行いました。パートナーにお腹を押してもらい、腹直筋の状態を確認すると硬くなってかなり痛がる選手もいました。こうした選手にはできるだけお腹を引っ込めたまましばらく呼吸を繰り返してもらうと、しっかりと腹横筋が働いてきて腹直筋に力が入らなくなり、だんだんと緩んでくるのです。すると自然とへその下の奥のあたりに力が入り、仙骨が締まってくるのを確認できるようになってきます。

こうしてお腹を絞ることを確認した後に、同時に胸も膨らませずに引っ込めるように呼吸しました(アブドミナル&チェスト・スクイズ)。すると背中が膨らんできてストレッチされ、頸椎から胸椎にかけての動きが出てきて、肩も緩んでくるのです。こうした呼吸を“背式呼吸”と呼んでいます(背式呼吸について詳しくは、『季刊パーソナルトレーニング』第13号(2011年春号)を参照ください)。

アブドミナル・スクイズの後には、股関節の内旋エクササイズである“レッグ・インターナル・ローテーション&ロール・アップ”を行いました。これは股関節を内側にねじりながら、ロール・アップを行うエクササイズです。お尻の奥にある外旋筋群が硬くなっていると内旋筋である小臀筋がうまく働かず、膝が外側に開いて足が持ち上がってしまいます。そこで、外旋筋群をストレッチして小臀筋を働かせるために“ハードル・シット・アップ”というエクササイズを紹介しました。しばらくこれを行っていると小臀筋に力が入り、股関節の横前方がつりそうになってきます。こうして力が入るようになってくると、股関節を内旋してロール・アップを行っても足がしっかりと固定されるようになってきます。

こうしたエクササイズを行った後に、ラグビー選手の指導でも行ったワイド・スタンス・プッシュ・ウォーキングを行いました。これは、いわゆるお相撲さんが脇を締めて相手を押す動きをイメージしてもらえばいいでしょう。何回か行っていくと何人かの選手が、脚で押すのではなく、お腹を絞るように“仙骨を締めれば押すことができる”という感覚になってきました。そこで、

「押される方も仙骨を締めれば押されにくく踏ん張ることができるようになるよ!」

と声をかけました。するとしばらくして押される役をやっていたキャップテンが押している途中の後輩に

「俺の仙骨の勝ちだな!」

と大きな声で言っているのが聞こえてきました。なるほど、よくわかってくるとそうした感覚になってくるのです。まさに“仙骨の勝負”なのです。

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• 月曜日, 5月 23rd, 2011


5月初めの連休中、茨城県の高校ラグビー・チームの指導をしてきました。


「今日の課題は、“仙骨を締めて押す”という感覚を感じ取ること!」と言って、うつ伏せになって仙骨を触ることから始めました。

このチームを指導するのは、今年で3年目。まだまだこちらが指導しているインナー・マッスルのコンディショニングの意味が理解できず、いっしょうけんめいに取り組めないといった感じでした。今年こそ、なんとか仙骨の動きを実感させてこれがわかれば今までよりもしなやかでキレのある動きができる、プレーが変わる、どんどん可能性が広がっていくということを伝えたいと思っていました。

仙骨を押してみると、もののみごとにカチカチに硬く丸みを帯びており、後ろに出っ張ったままほとんど動かなくなっている選手が多く、いっしょうけんめいがんばっているものの力任せに動いてしまっているのだろうなぁと感じました。

力を抜いてパートナーに足を持ち上げてもらいながら腹式呼吸をするレッグ・リフティング・アブドミナル・スクイズを行った後、その状態で足を壁に立てかけるウォール・アブドミナル・スクイズを行いました。このエクササイズと壁により掛かってお腹を引っ込めたまま呼吸を行うシーティッド・アブドミナル・スクイズを交互に行うことで、仙骨周辺の多裂筋などのインナー・マッスルが緩んでリラックスした状態で背中全体が床に着いて来るのを感じてもらいました。

その後でもう一度うつ伏せで仙骨を触ってもらいました。すると、今まで硬く丸みを帯びて動かなかった仙骨に弾力性が出てきて上から押すと沈み込むようになってくるのです。「ただ呼吸をしていただけなのにこんなことでカラダが変化していく」と言って驚いていました。

そこで、次のような話をしました。

「昨年、君たちの先輩の中に椎間板ヘルニアで腰を痛め、足がしびれてしまった選手がいたけど、『毎晩繰り返しアブドミナル・スクイズを行っていたら、腰、大丈夫になりました』と言っていたよ。それぐらいきちんと呼吸すると効果があるんだよ」というとかなり関心を持ち出しました。

そこで、次に仰向けで膝を90度に曲げた状態からのアブドミナル・スクイズ・ヒップ・リフトを行いました。お腹の力を抜いてしっかりとアブドミナル・スクイズをしていくと仙骨周辺の筋肉が締まり、仙骨がお尻の中の方に押し込まれるようになってきます。この動きを“仙骨を締める”と表現しているのですが、これを使ってお尻を持ち上げる(というよりも“持ち上がってくる”といった感じ)のが、アブドミナル・スクイズ・ヒップ・リフトです。これは、呼吸をしてお腹を絞るだけで仙骨が締まり、お尻が勝手に持ち上がってくる感覚になり、力任せにブリッジをするのに比べて非常に楽にお尻を持ち上げることができるのです。この感覚がわかってくると、力任せではなく、リラックスすることの大切さがわかり、だんだんと選手たちの目が輝いてきました。

次に、仙骨を締めて体幹部を真っ直ぐに保ったままあたかも後ろに倒れていくようなシッシー・スクワットを行った後、ワイド・スタンス・プッシュ・ウォーキングを行いました。これは、前に立っている人を押しながら歩いていくエクササイズなのです。いわゆるお相撲さんが脇を締めて相手を押す動きをイメージしてもらえばいいでしょう。

実際に行わせてみると、ラグビー選手で日頃押し合いをしているにも関わらず、うまく押せない選手が多いのです。カラダが前傾してかかとを浮かせ膝を曲げて押す動きが多く、いわゆる腰が入らない動きで脚で押してしまうのです。そこで、少しスタンスを広げてかかとを地面に着けた状態でアブドミナル・スクイズ・ヒップ・リフトのようにお腹を絞って仙骨を締める動きを使って押すように指導しました。すると、仙骨がお尻の奥に入っていくような感覚が生まれ、腰の入った動きでお尻が働くようになってきました。うまくできている選手に聞いてみると、ほとんど太ももの筋肉を使った感覚はなく、とにかくお尻がきついという答えが返ってきました。まさに、“仙骨を締めて押す”という感覚がわかってきたのです。

そこで、試技に使っていた選手にこの感覚を使って走ってみるように伝えると、しばらくやっているうちに「わかった!」と叫びながら、何度も何度も繰り返し走り出しました。それまではいくら指導してもわからず、足を後ろに流して引っ掻くような動きで走っていたのですが、わかったとたんに走り出しがスッと早くなり、うしろに足が流れなくなってきたのです。そして、かかとで真下を押すようにすれば、勝手に仙骨が締まって前に進むんだということを解説すると、「だれかに後ろから仙骨を押されているみたいです」とうれしそうに話していました。それから「これは、すごい! これは、すごい!」と言いながら何度も何度も繰り返し走り込んでいました。

まさに“仙骨を締めて押す”感覚で走ることができたのです。


ここで紹介したエクササイズの多くは、拙著『動きづくり革命パート2』のセッション40〜42「尻締めスクワットを究める」で解説しています。興味のある方は、こちらをご覧になってください。


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• 金曜日, 5月 13th, 2011

4月30日に岩手県久慈市でバスケットボール選手の動きづくり講習会を行ってきました。


東日本大震災の後、この時期に開催できるかどうか危ぶまれましたが、この企画を立ててくれた岩手県の指導者育成の青木先生が、「絶対にやります! “ガンバルマン久慈”ですから」と言われたので、私も「なにがなんでも行きますから」と答え、開催が決まりました。


当日は、久慈地区のミニバスから中学、高校の選手と指導者が200名以上集まってくれました。当初2日間で行う予定だったのを1日で行うことになってしまったので、あまりたくさんのことを伝えられなかったのですが、股関節のインナー・マッスル・コンディショニングからジャンプ・ストップ&ジャンプ・シュートの動きをテーマに行いました。

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ミニバスの子どもたちに難しくなりすぎないように気をつけながら、“ベンチ・スクワット”から入ってお尻の使い方を学んだのちに、よりうまくお尻を使えるようにするために股関節のインナー・マッスル・コンディショニング・エクササイズである“ダイアゴナル・レッグ・レイズ”へと進んでいきました。ダイアゴナル・レッグ・レイズを行ってから、立ち上ってもも上げをしてみると足が軽くなっていることに驚いている中学生がたくさんいました。

そして最近、指導に力を入れている股関節のインターナル・ローテーション(内旋:内側にねじる)の動きを解説したのちに、この動きを使った“ワイド・スタンス・ナロー・スクワット”へと進んでいきました。

午後の休憩を挟んだ後は、インターナル・ローテーション・ウォーキング(内旋歩行)から入り、スクワットの復習をした後にストップの際にお尻で受けることができるように“ヒップ・ディッピング”、そして太ももでなく、お尻を使うジャンプへと発展させていきました。

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次にボールを持ってお尻を使うジャンプでのジャンプ・シュートを行ってもらいましたが、今までうまくできていたのに、実際にボールを持ってゴールにシュートしようとするといつもの癖で太ももを使うジャンプでシュートしてしまう選手が多く見受けられました。

その後は、両足で止まるジャンプ・ストップの練習をしました。ブレーキをかけるためにはつま先ではなく“かかと”から着いて止まることが大切だと解説したため、けっこううまく止まれるようなった選手がいたのですが、最後にボールを使ってジャンプ・ストップ&ジャンプ・シュートを行うとジャンプの動き同様、いつもの癖でつま先からストップして太ももを使ってジャンプ・シュートしてしまう選手が多かったです。

講習をしながら、オスグットで膝が痛いという中学生がいたので、小臀筋を刺激してからダイアゴナル・レッグ・レイズを行わせると、股関節がうまく内旋できるようになって膝の痛みが軽減し、「すごい、すごい!」と驚いていました。


講習が終わった後に、前回宮古市で行った講習会にも参加してくれたミニバスの男の子が、「肩甲骨パスを教えてください!」と言ってきました。これは、現在バスケ塾でも教えているワン・モーションでのクイック・チェスト・パスのことで、前回の講習会で紹介しました。このチームのコーチによると、それ以来このパスをできるようにしようといっしょうけんめい取り組んでいたそうです。ずうっと練習をしていたため、少し修正してあげるとかなりうまくできるようになり、強くて素早いチェスト・パスを得意げに繰り返していました。


大地震に大津波の被害でまだまだ大変な方々がいる中で、たくさんの選手やコーチに集まっていただき、うれしいかぎりです。講習会に参加して動きづくりに興味を持った方は、久慈高校のバスケットボール部を訪ねてみてください。私が指導したことを日頃から取り入れて練習しているので、いろいろと参考になると思います。


最後に、東日本大震災で被災した方々が一日でも早く復興できるようにお祈り申し上げます。