「バスケットボールのトレーニングを考える会」 のフェイスブックページで「ボディワークとは何か?」ということを考えているうちに、2010年9月に発売された『インナーマッスルを使った動きづくり革命パート2』(森川靖著 有限会社あほうせん) の「おわりに」で“共感”について書いたことを思い出しました。そこの一部を引用しておきたいと思います。
私がトレーニング指導の仕事を始めてからすでに20年が過ぎました。「本当にこの仕事をして生活していけるのだろうか?」という不安を抱えながら何とか地道に積み重ねてここまでやってきました。こうした節目の年に自分の考えてきたことを本として出版できることをとても幸運に思います。
最近では、自分の指導しているチームに“インナーマッスルからの動きづくり”のイメージがだんだんと伝わり、学年が上がっていくごとに“力強くしなやかでキレのある動き”ができる選手が出てくるようになり、大変うれしく思っています。しかし、その反面、いくら伝えようと思ってもまったく気づかない、あるいは理解してもらえない選手やコーチがまだまだたくさんいるのです。
確かにこちらが指導していることが難しすぎる、細かすぎるということはあるのですが、理解できた選手やコーチ達は、あるとき「そういうことだったのか!」、「なるほどね!」と“腑に落ちる”体験をしているのです。腑に落ちた瞬間に今まで私がいくら説明してもまったくわからなかったということが、一気に理解できてしまうのです。それはあたかも今までわからなかった言語を瞬間にしてわかるような感じです。いったい何が起こったのでしょうか?
そこでは、今まで自分には無かった感覚に“共感”するということが起こっているのです。この“共感”を得るために私は選手に「内観を探ってください」と言っています。
自分の内部感覚というのは自分の中で閉じたその人固有の感覚でしかありません。例えば、人はつねられたら“痛い”というけれどその痛い感覚は、自分と他の人と同じ感覚であるという保証はどこにもありません。これと同じようにお尻を締めてジャンプするという感覚も自分と他の人と同じであるという保証はないのです。保証がないにも関わらず、ジャンプ力のある人たちの話をいろいろと聞いてみると、ジャンプするときには「そうそうそう! そういった感じ」とほぼ同じような内部感覚を持っているのです。つまり、ジャンプ力がある人には高く跳ぶための“共通感覚”があるのです。
例えば、A、B、Cの3選手にお尻を締めてジャンプするという感覚について3人で話してもらうとします。A選手とC選手はお尻を締めてジャンプするとまったく太ももに力が入らないという共通感覚を持っているのですが、B選手はお尻を締めても太ももにも力が入ると主張します。どうしても太ももに力が入るB選手は、A選手とC選手のいうことが納得できません。しかし、A選手とC選手ともにジャンプ力があるとすれば、B選手は「ジャンプ力のある選手はお尻を締めてジャンプしても太ももに力が入らない感覚なんだ。もしかして自分の主張していることが違っているのかもしれない」と思うようになるでしょう。
そこでB選手はいろいろと自分の内部感覚を探っていくのですが、なかなかA選手とC選手のいう共通感覚が見つけ出すことができません。しかし、ストレッチやトレーニングなどさまざまなことをする中で、あるときに不意にお尻を締めても太ももに力が入らないという今までにない感覚を経験するのです。すると、その瞬間にA選手とC選手のいうお尻を締める感覚が腑に落ち、“共感”するのです。こうした共感が起こったときに初めて今までB選手が自分で思っていたお尻を締める感覚がA選手やC選手と違うということに気づきます。このときB選手は、自分の閉じた感覚の世界の殻を破り、一段階広い世界に到達することができるのです。そのときには、今までまったくわからなかったことが将棋倒しのように一気に解決してしまいます。
「内観を探る」ということを通してしか自分の外側にある感覚を身につける方法はないのです。このときには自分の内側にある感覚をいったん否定して違った感覚を探さなければならないので、非常にしんどく根気のいる作業になってくるのです。しかし、いったん殻を破って外側の感覚を手に入れてしまうと、自分が今までなんと小さな殻に閉じこもっていたかに気づいてしまいます。こうしたことがわかれば次からはどんどん新たな感覚を獲得することができるようになってくるのです。
現在の私の課題は、こうして内観を探っている選手にどのように“共感”を持たせることができるかではないかと考えています。できるだけ多くの選手が“共感”できるようなトレーニングやコンディショニングの方法を提供できるようにこれから精進していきたいと思っています。
(『インナーマッスルを使った動きづくり革命パート2』p.202〜204)
これを書いたことを思い出したとき、私がこの本で伝えようとしていることは今まさに話題にしている“ボディワーク”的課題なんだと気がつきました。「何を今さら?」と思う人もいるかもしれませんが、ボディワークに携わっている人たちと交流を持ちながらまさに“共感”したという感じです。多くの人たちが同じような課題を抱えてなんとかさまざまな人たちに伝えようとしているんだということに気づき、なんだか勇気をもらった感じがします。
みなさん、ありがとうございます。
前々回にブログで紹介した『季刊パーソナルトレーニング』 に掲載された「小・中学生にやってもらいたいスポーツでうまくなるための動きづくりエクササイズ」 では「よく動く選手と動かない選手の違い」についても触れました。それを紹介してみましょう。
●よく動く選手と動かない選手の違い
長年指導してきた中でわかってきたことですが、よく動く選手と動かない選手の最も大きな違いは次の二つの動きに表れます。
(1)体幹部を締める力
いわゆる“腹筋・背筋”といわれる腹直筋や脊柱起立筋が発揮する力ではなく、インナーユニットと呼ばれる腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群などの呼吸に関わる体幹部のインナーマッスルの発揮する力です。これらの筋肉の力の入れ方は、“お腹を絞る”、“へその下に力を入れる”、“仙骨を締める”といったような表現になり、アウターマッスルである腹直筋や脊柱起立筋で体幹部を丸めたり、反らしたりする力の入れ方とは明らかに異なります。
(2)肩関節・股関節をねじる力
球関節である肩関節と股関節は、屈曲・伸展、内転・外転、内旋・外旋と三方向の動きをします。このうちねじる動きである内旋・外旋は、主に肩関節・股関節のインナーマッスルが働くことによって行われる動きです。これらの筋肉は関節が外れてしまわないように固定する役割を持っており、硬く動かなくなると詰まりを感じて可動域が制限されてしまいます。また、うまく働かずに緩くなりすぎると固定力が低くなり、アウターマッスルが力を発揮できなくなってしまいます。
よく動く選手は、インナーマッスルがうまく働いているため、体幹部を締める力と肩関節・股関節をねじる力が強く、こうした筋群を触ってみても非常に柔らかく緩んでいます。それに対して動かない選手は、体幹部が締まらず、肩関節・股関節がうまくねじれなくなっています。
そこでここでは、この二つの力をうまく発揮できるように体幹部や肩関節・股関節のインナーマッスルのコンディショニングエクササイズを紹介します。これらの筋肉を緩めうまく働くようにコンディショニングできれば、だんだんと「自分のカラダを自分が思ったとおりに自由自在に扱う」ことができるようになっていくことでしょう。
(『季刊パーソナルトレーニング』第16号(2012年冬号)p.107〜109)
先日ブログでも紹介しましたが、西武ライオンズの中島裕之選手 はまさにここで挙げている「体幹部を締める力」と「肩関節・股関節をねじる力」がとてつもなく強いのです。
レッグ・レイズという足上げの腹筋運動を行うと腰が床から浮いてしまう選手も多いのですが、中島選手はまったく浮かず、いわゆるピラティスの“ザ・ハンドレッド”の状態を何食わぬ顔をして行っていました。
また、最近よく行わせているうつ伏せになって膝を90度に曲げ、膝を閉じたままかかとを開いていく“プローン・インターナル・ローテーション”という動きを行わせると股関節の横にある小臀筋に力が入り、しっかりと内旋してきます。多くの選手、特に男子選手では股関節の内旋ができず、わずかに開いただけでまったく動かなくなります。ところが、中島選手は床から45度くらいのところまで自分の力で開く(内旋する)ことができるだけでなく、そこからお尻を締めてかかとを閉じる(外旋する)力も今まで見た選手の中ではずば抜けて高いのです。
こうした2つの力を高めるべくさまざまなエクササイズを考えてきましたが、最近になって非常に効果的な股関節外旋筋群のストレッチを開発しました。これについてはまた改めて紹介したいと思います。
1月の後半、2年ぶりに西武ライオンズの中島裕之選手が弊社にやってきました。
中島選手は、西武ライオンズ入団当時から私のところにちょこちょこやってきて、トレーニングやコンディショニングを学んでいました。
拙著『インナーマッスルを使った動きづくり革命パート2』 ではセッション38で野球のスイングについて触れているのですが、ここに出てくるプロ野球選手とは彼のことです。普段バスケットボール選手を多く見ている私にとって、中島選手は今まで見たことのないほどの身体能力を持っていて、そのすごさに驚かされるばかりです。その一部を紹介するために『動きづくり革命パート2』から引用します。
「実は、先日も私が指導しているプロ野球選手が股関節の違和感を訴えてやってきました。彼は、50mを5秒7で走るほどの能力を持った選手で、私がまだまだインナーマッスルのことがよくわかっていない頃から『仙骨の周辺と股関節の付け根のあたりに力が入れば、もっと速く走れますよ!』といった感覚を持っていました。よく見ているとわかるのですが、調子が悪くなってくると股関節のインナーマッスルがうまく働かなくなり、大腿四頭筋の張りがとれずに太ももが太くなってきます。
『左股関節がひっかかってうまくねじれないため、左脚が長くなった感じで腰がうまく乗らない。スイングの後半で骨盤がうまく回らずに伸び上がってしまう』と言っていたので、ストレッチを行ってみると確かに左股関節が緩く、インナーマッスルに力が入らない状態になっていました。また、スクワットを行ってもお尻が後ろに突き出てしまい、両足のかかとの間に落とすことができなくなっていました。アブドミナル・スクイズで体幹部のインナーマッスルを締めて、ダイアゴナル・レッグ・レイズなどコンディショニング・エクササイズを行うと、徐々に股関節のインナーマッスルに力が入り出し、スクワットをやってもお尻が後ろに出なくなってきました。こうなるとだんだんと股関節のひっかかりがなくなってきてスムーズに骨盤が回るようになってきました。
この選手の例から股関節のインナーマッスルが腰のキレに大きく関与していることがわかるでしょう。
また、次のようなインナーマッスルに関する興味深い話をしていました。
『昨シーズンは三振が多かったんだけど、その原因はわかっているんです。それは仙骨の周辺に力が入らなかったことなんです。ここに力が入らないからスイングを止めることができずにバットが流れてしまい、手を出さなくてもよいボールにも手が出てしまったんです。』
これは私が“仙骨を締める”と言っている力の入れ方で、体幹部のインナーマッスルである多裂筋の話なのです。力が入らなかったといっても平凡な選手に比べたらしっかりと力が入っているのですが、この選手としては入っている感じがしなかったということでしょう。このように、インナーマッスルはバッティングにおいても重要な役割を果たしているのです。」
今回は、久々にやってきたため、最初のうちはちょっときついようでしたが、3回目にはかなりカラダが締まり、いい感じになっていました。特に驚くべきことは、やはりインナーマッスルの強さです。“よく動く選手と動かない選手の違い”ということを先日紹介した「小・中学生にやってもらいたいスポーツでうまくなるための動きづくりエクササイズ」 (『季刊パーソナルトレーニング』第16号-2012年冬号 )でも書いたのですが、“体幹部を締める力”および“股関節と肩関節をねじる力”がとてつもなく強いのです。普段見ているバスケットボール選手では出せないような力を発揮する中島選手を見て、超一流選手というのはやはりこうした資質を持っているのだと改めて感心しました。
今はキャンプ中ですが、しっかりとカラダを作って今シーズンがんばってほしいですね。そして来年こそ大リーグに挑戦してもらいと思います。
『季刊パーソナルトレーニング』第16号(2012年冬号) に「小・中学生にやってもらいたいスポーツでうまくなるための動きづくりエクササイズ」が掲載されました。
その冒頭部分を紹介してみましょう。
●はじめに
先日、ある高校でバスケットボール選手にインナーマッスルからの動きづくりを指導していたところ、それを見に来ていたある先生が私に次のようなことを言ってくれました。
「このチームの選手たちはすごく力強く安定した姿勢が取れますよね。インナーマッスルの動きづくりで今まで感じることができなかった仙骨の動きや正しいカラダの使い方を学ぶと、こんなにも姿勢がよくなるんですね。
みんなこうした仙骨の動きや正しいカラダの使い方を知らないで高校に入ってくるけど、小学生や中学生の頃からこうした使い方を学ぶことができれば高校でこんなに時間をかけなくても済むんでしょうね。そうすれば、もっと日本のスポーツのレベルが上がるのに…。
小・中学生にインナーマッスルからの動きづくりを学ばせることはできないんですかね?」
主に高校生や大学生を指導している私が感じているのは、この先生が言うように、こうした選手たちがさまざまなスポーツを始めた頃にこの指導と出会っていればなあということです。私がやっているバスケットボール塾では、小学生から高校生までの選手を指導していますが、教えたことがすぐできるようになるのはやはり小学生の高学年くらいです。運動学習の黄金期(ゴールデン・エイジ)と言われるこの時期は運動共感能力が高く、理屈抜きで見た動きを簡単にカラダで表現することができるのです。
そこで、こうしたゴールデン・エイジの時期になんとか仙骨の動きや正しいカラダの使い方を習得できるようにならないかと考え、その最も基礎となるインナーマッスルの動きを感じ取ってもらいながら行えるようなエクササイズを「小・中学生にやってもらいたいスポーツでうまくなるための動きづくりエクササイズ」としてまとめてみました。
このように書いた後に、
「どうしてスポーツでうまくなれないのか?」
「よく動く選手と動かない選手の違い」
「体幹部のインナーマッスルが最重要」
「コンディショニングエクササイズの反復必要性」
「1日15分、2週間×4ステップ」
といった項目が続き、コンディショニング・プログラムの解説に入っていきます。
興味のある方は『季刊パーソナルトレーニング』第16号(2012年冬号) をご覧になってください。
本日、オールジャパン3日目の試合がありました。
昨日、鶴屋百貨店に勝った金沢総合高校は、社会人1位の秋田銀行と対戦し、69対50で快勝し、オールジャパンでベスト8に入りました。高校生チームがベスト8に入るのは、49年ぶりだそうです。
秋田銀行は、一見すると金沢総合高校よりも身長も高く、体格もガッチリしていていかにも強そうな感じがするのですが、ゲームが始まるとこれはいけそうだと思えるようになりました。それは、体格の大きさやパワーの強さということよりも“動きの質”が明らかに違うからです。
インナー・マッスルからの動きづくりを行っている金沢総合高校の選手は一見するとカラダが細くきゃしゃなイメージがあるですが、体幹部のインナー・マッスルから力を出しているために瞬間的にすばやく動くことができるのです。
一方、秋田銀行の選手は、身長も高く、体格もガッチリしていていかにも鍛え込んでいるという感じなのですが、アウター・マッスルにばかり力が入っているため、動き出しが遅く、動きがとても重く感じるのです。
最も大きな違いはやはりディフェンスに出てきました。足がよく動く金沢総合高校のディフェンスは、ボールマンに対して間合いを詰めてもしっかりと一歩目が出るので抜かれずについて行くことができます。また秋田銀行の選手のドライブも動きが重くて素早さに欠けるためなかなかうまくノーマークをつくることができず、ロースコアーゲームになっていきました。
一方、秋田銀行のディフェンスは、センターの宮沢にボールを持たせないようにカラダの強さで抑えようとするのですが、瞬間的な動きにまさる宮沢がドライブからジャンプ・シュートをするとまったく対応ができないといった状況でした。
金沢総合高校の選手たちのカラダの強さに関してこのままでよいと思っているわけではありません。しかし、ただ筋力をアップさせようとウェイト・トレーニングをすると秋田銀行の選手のように“しなやかでキレのある動き”を失ってしまう可能性があるのです。バスケットボールで確かに“筋力・パワー”は欠かせないものであるが、もっと欠かすことができないのが“しなやかさでキレのある動き”なのです。こうした動きがあって初めて筋力・パワーが生きてくるのです。
以前にもブログに書きましたが、金沢総合高校の選手は30〜40㎏程度の重量でしかスクワットをしていません。 それでも彼女たちはとっては非常にきついトレーニングなのです。その秘密は、スクワットのフォームにあるのです。お尻を後ろに突き出さず、両足のかかとの間に落としていく“尻締めスクワット”はしっかりとインナー・マッスルが働くようにならなければ正しいフォームでできません。このスクワットがしっかりとできるようになるとディフェンスのステイ・ローの姿勢でも上半身を前傾せずにまっすぐ構えることができ、足もたやすく動くようになってくるのです。
バスケットボールのコーチのみなさん!! 早く気づいてください。
ウェイト・トレーニングで筋力アップすることよりもまずは動きづくりが必要なことを!
新年あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします。
さて元旦からオールジャパン2012が開催されています。
弊社の指導しているチームが3チーム出場しています。
東北学院大学女子バスケットボール部
仙台大学女子バスケットボール部
神奈川県立金沢総合高校女子バスケットボール部
昨日と今日、東京体育館に観戦に行ってきました。
昨日は、東北学院大が1回戦ビックブルー東京に勝ちましたが、仙台大学は鶴屋百貨店に負けてしましました。
今日は、東北学院大がエバラヴィッキーズに負けてしまいましたが、金沢総合高校は鶴屋百貨店に勝ちました。
インターハイを優勝してオールジャパンの出場権を獲得した金沢総合高校は、ウィンターカップでは桜花学園に敗れて優勝を逃したものの、オールジャパンでベスト8をねらい、本日、鶴屋百貨店に勝ちました。
金沢総合高校を見るとどうしても宮沢選手を中心としたオフェンスに目がいきがちですが、私が注目して見ているのはむしろディフェンスの方です。
先日ウィンターカップで高知県立岡豊高校が福井商業に勝ちましたが、ウィンターカップ前に金沢総合高校に寄って練習ゲームをしてきたそうです。岡豊高校の川井先生が「まったくボールが回らなかった」と言っていました。
今日の試合を見ても、ボールマンに対して間合いを空けずに詰めて守っているのにしっかりと足が動いているので、簡単にドライブで抜かれないのです。これもインナー・マッスルからの動きづくり の成果だと考えています。
明日は秋田銀行と対戦しますが、こうしたディフェンスがしっかりとできれば十分に勝つチャンスが生まれると思います。明日勝てばベスト8です。なんとかがんばってもらいたいものです。
11/26(土)〜12/2(金)にかけてドイツに行ってきました。
26、27日は、ヴュルツブルグに行き、ドイツの1部リーグ “s.Olivre Baskets”の練習および公式戦を見て来ました。このチームは今年度からJBLのトヨタ自動車を優勝させた経験があるジョン・パトリック氏がヘッドコーチを務めています。NBAで活躍中のノビツキー選手の出身クラブチームだったのですが、一時期弱くなってつぶれてしまい、4部から再スタートし、昨年1部に昇格したそうです。
26日は、試合の前日の練習で軽めに流すのかなと思っていましたが、かなりハードに当たり合いながらやっていました。明日の対戦相手のチームに対してのディフェンスを繰り返し確認していました。
27日の午前11時からシュート・アラウンドを行い、ここでもまた軽く流すのではなく、けっこうハードに練習を行っていました。ジョン・パトリック氏によるとハードにディフェンスを行いたいので、流すのではなくいつもアクティブに練習を行っているということでした。
興味深かったのは、この練習のアップの中でポイント・ガードの選手がやっていたスタビリティー・エクササイズ。丁度、今あちらこちらでシングル・レッグ・デッド・リフトやシングル・レッグ・スクワットを指導しているところで、同じようなことをドイツのプロ選手が行っていました。
午後5時からゲーム開始ということで、4時過ぎに行ってみると3,500人入るアリーナが満員でものすごい人気です。今シーズンは6勝3敗で18チーム中5位と好成績を納めているだけに地元の期待も高く、ホームゲームは1カ月先まで満員でチケットが取れない状態だと言っていました。
対戦相手はEnBW Ludwigsburgという能力も身長もs.Oliverよりも高いチーム。ゲームの方は、第1ピリオド、間合いを詰めた激しいディフェンスでしっかりと守り、アウトサイドからのシュートが決まってリードして終わるものの第2ピリオドで追いつかれ同点で折り返しました。第3ピリオドは、相手にリードされそうになったところをなんとかディフェンスでしのぐものの、こちらも得点が伸びず、一進一退の攻防が続き、残り数分のところで3ポイントシュートが2本決まり、リードして終了。第4ピリオド、相手がディフェンスを前からしかけてくるものの、しっかりとプレス・ダウンして相手につけいる隙を与えず、きっちりとディフェンスで守り抜き、67対58で快勝しました。
ジョン・パトリック・コーチはまだまだダメなところがあって危なかったとコメントしていたが、観客を魅了するナイス・ゲームでした。観客はみんな総立ちで応援をし、座っている時間の方が短いというくらい盛り上がっていました。
10/28(金)に今年のインターハイを優勝した金沢総合高校の女子バスケットボール部を指導にいきました。
そこで、以前から行わせていた“スタンディング・ロール・アップ”というエクササイズを再確認しようと、キャプテンでエースの宮沢選手に試技をさせながらみんなに解説をしました。
「バーベルを持ってまっすぐに立った状態からアブドミナル・スクイズをするようにお腹の力を抜いて“仙骨を締め”、お腹から折れていくように前屈していって。そうすると腰から背中が丸まって突っ張る感じが出てくるでしょう。特に腰椎から仙骨にかけてついているインナー・マッスルである多裂筋のあたりをストレッチしたいんだ。これが伸びて緩んでくるとよりお腹を絞ることができ、仙骨の動きを感じることができるようになるからね。
デッド・リフトではないから太ももの裏側が突っ張らないようにしてほしいんだけど、そうするためには以前からしつこく何回も言っているけど、しっかりと“仙骨を締める”ことが大切なんだ。」
このように解説しながら何回か試技を行わせた後、みんなにやってみるよう指示した直後に宮沢選手が、
「森川さん、わかりました。“仙骨を締めれば”いいんですね!!」
と目を輝かすように言ってくるのです。私は大笑いながら、
「今頃わかったの? だって、そんなの入学したときからずっと言い続けていることだよ。」
と返しました。
しかし、彼女がわかりきったこの“仙骨を締める”ということばを発したのには大きな意味があるのです。彼女はなんとなくわかったつもりになっていた “仙骨を締める”という感覚に本当の意味で初めて共感し、自分のカラダの内部感覚的な大きな“発見” をしたのです。いわゆる“腑に落ちる”といった感じでしょうか。だから、あんなに目を輝かせていたんですね。
人間の内部感覚は、自分ひとりにしか感じることができない閉じた世界です。この閉じた世界で外側からから言われているさまざまな感覚を獲得するためには、内側の世界を自分自身で探索し、発見していくしかないのです。簡単に見つけることができる感覚もあれば、いくら探してもなかなか見つからない感覚もあるのです。だからといってその探索では、他人はいろいろとアドバイスできるものの、最終的には他の誰も助けることはできません。つまり、自分ひとりの力で探し続けるしかないのです。
こうした自分のカラダを内部感覚的発見すると今までに感じることができなかった世界に触れることができ、さらなる新たな感覚の発見につながっていくのです。そうすることで今までうまくいかなかったプレーを簡単に修正できるようになり、また新しいプレーやタイミングの習得を可能にするのです。
“仙骨を締める”という感覚の発見が彼女の成長をさらに促してくれることを期待しています。
『季刊パーソナルトレーニング』第15号(2011年秋号) に「動きづくりからウェイト・トレーニングを見直す-ウェイト・トレーニングをスポーツ・パフォーマンス向上に生かすために」が掲載されました。
その内容を簡単に紹介してみましょう。
この仕事を始めた頃には、筋力が高まれば、速く走れるようになる、高く跳べるようになる、もっと正確に強く速いパスやシュートができるようになると思ってウェイト・トレーニングを指導していました。しかしこれではうまくいかず、現在ではインナー・マッスルから動きを見直して正しいカラダの使い方をひとつひとつ積み重ねていき、最終的には自分の専門スポーツの動きに結びつけていくことが必要と考えています。これを私は、スポーツ・パフォーマンスを高めるための“動きづくり”と呼んでいます。動きづくりの観点からウェイト・トレーニングを見直してみると、今まで常識と言われていたこととまったく正反対のことをした方がスポーツ・パフォーマンスを高めるために役立つといったことが出てきています。そこで、従来からのウェイト・トレーニングでは常識的とされていたスクワット、ベンチ・プレスというエクササイズを動きづくりの観点から見直し、どうしたらスポーツ・パフォーマンスの向上に役立てることができるかを考えていきましょう。
ということで、まずは“ワイド・スタンス・ナロー・スクワット”という「股関節を内旋して行う尻締めスクワット」を解説し、従来から行われている膝関節伸展スクワット、股関節伸展スクワットと比較していきます。特に股関節を内旋してスクワットをすると“knee in toe out(膝が内向きでつま先が外向き)”という膝にはあまり好ましくない状態になるのですが、これは大腿骨頭が股関節の関節窩にきちんとはまって固定されるような状態をつくるという股関節の状態を優先して行うスクワットなのです。股関節がしっかりと固定されれば、“knee in toe out”の状態でも膝への負担はほとんどありません。
こうした股関節内旋の尻締めスクワットを行うことで、バスケットボールでのボールマン・ディフェンスに必要な「素早くオフェンスに反応するためのサイド・ステップ」を改善していく過程を紹介しています。
次に、“リバース・クランチ&ベンチ・プレス”という「肩甲骨を離して肩関節内旋で行うベンチ・プレス」を解説し、従来から行われている肩甲骨を寄せて行うベンチ・プレスと比較していきます。スポーツ・パフォーマンスを向上させるためには、肩甲骨の可動性・柔軟性を確保することが不可欠なのですが、従来のベンチ・プレスは胸を張って肩甲骨を寄せる姿勢で行うために、こればかりを続けていると可動性・柔軟性が失われてしまいがちです。そうした状態では肩甲骨を離そうとしても肩甲骨周辺のインナー・マッスルが硬くなってうまく動きません。また、肩甲骨の可動性・柔軟性は、胸郭(背骨と肋骨)の動きにも大きく影響を受けています。そこで、リバース・クランチで「お腹を絞って仙骨を締める」とともに「胸を絞って背中を膨らます」チェスト・スクイズを行って胸郭を動かしていくと肩甲骨をうまく離せるようになってくるのです。こうした動きがうまくできると、リバース・クランチ&ベンチ・プレスでは仙骨を締める動きでバーベルを押し上げる感覚が生まれてきます。
こうした仙骨を締めて押し上げる動きと肩甲骨を離す動きとを使って「ボールをつぶすように押すクイック・チェスト・パス」へと発展させていく過程を紹介しています。
興味のある方は『季刊パーソナルトレーニング』第15号(2011年秋号) をご覧になってください。
先日(10/21)、東京都の高校新体操女子チームを指導してきました。
この指導の10日前に一度練習を見に行きましたが、顧問の先生のお話を聞いてみるとその動きの複雑さに驚くばかりで、いったい何から手をつければいいものかとちょっとばかり戸惑いました。
しかし、何人かの選手を呼んで、お腹を絞ることや股関節を内旋することなどを行ってもらうとうまくできる選手とできない選手がいるということがわかり、やはりインナー・マッスルの動きをひとつひとつ見直してみればよいのではと考えていました。
そこでその日の指導では、インナー・マッスルの解剖図を見てカラダのどこにどんな筋肉があってどういう動きをしているのか、インナー・マッスルを触りながら解説していきました。実際にインナー・マッスルに触ってみると予想以上に硬い選手が多く、他の競技のスポーツ選手と同じようにけっこう痛がっていました。前後開脚をすると180°以上に開くにもかかわらずインナー・マッスルが柔らかいわけではないのです。
いつものように腸腰筋などを刺激して動かしていくとだんだん緩んでいったので前後開脚していつもと違いが出たかどうか質問してみました。すると、開脚するのはいつもとあまり変わらないということなので、そこから立ち上がってもらうと「えっ、すごい、すごい力が入る!」という答えが返ってきました。その後も股関節周りのインナー・マッスルを動かしていくと
「脚がいつもより上がる!」
「太ももが細くなった!」
「ヒップ・アップした!」
といった反応がどんどんと出てきました。顧問の先生も「すごい、すごい、こんなに変わるなんて…」と驚いていました。
次に肩のインナー・マッスルを触っていくと、股関節以上に硬くなっていました。というのは、胸を張るのがよい姿勢であるためにいつも肩甲骨を後ろに寄せてしまっており、肩甲骨が胸郭に張り付いて剥がれないような状態になっている選手が多く、前鋸筋を触ると跳び上がるほど痛がっていました。肩甲骨が動かなくなっているため肩こりがひどい選手もおり、
「肩が軽くなった!」
「腕がよく回る!」
「血液が流れてぽかぽかしてきた」
といった反応がありました。
最後に体幹部のインナー・マッスルを緩めるために、力を抜いて呼吸しながらお腹を絞る“アブドミナル・スクイズ”を紹介し、壁に脚を立てかけて行うウォール・アブドミナル・スクイズ、壁に寄りかかるように座って行うシーティッド・アブドミナル・スクイズを繰り返しました。なかなか腹直筋の力が抜けない選手もいましたが、徐々に力が抜けていき、床の上に仰向けになるとだんだんと背中が床に着くようになってくるのを確認しました。
「カラダがだるくなった」
「眠くなってきた」
「カラダが暖かくなってきた」
といった反応が多く、呼吸だけでカラダがこんなにも変わるんだということに驚いていました。
数日後、顧問の先生から以下のようなメールが送られてきました。
「前回のトレーニング後、生徒たちは自分たちの体にとても興味を持ったようでとても有意義な時間になりました。」
これまでに新体操女子選手の指導は行ったことがないために、今後どうなっていくかが楽しみです。ブログにてまたご報告します。