横隔膜の動きをコントールする(3)

前回「横隔膜の動きをコントロールする(2)」では腹式呼吸、逆腹式呼吸、胸式呼吸、逆胸式呼吸の4つの呼吸で横隔膜を自在にコントールすることができることを解説しました。

こうした呼吸で横隔膜をコントロールできると、横隔膜の位置がどこにあっても息を吸うことも吐くこともできるということがわかってきます。すると、横隔膜は、呼吸と関係なく、独立して動かすことができるということに気がつくでしょう。そうなんです。実際に息を止めた状態で横隔膜を上下してみるとうまく動かすことができるようなっているはずです。

そしてこれができたら、最後に横隔膜をできるだけ強く勢いよく下げてみます。うまくできると驚くほど強い力で下げることが可能だということに気がつくでしょう。指で横隔膜を触っていると肋骨の下から指をはじき飛ばされるほどです。

実は大きな力や叫び声を出すときに私たちは無意識にこうした横隔膜の動きを使っているのです。逆にいうと横隔膜をうまくコントロールしてこうした動きを出すことができれば簡単に大きな力や大きな声を出せるようになるのです。

 

バスケットボールの中でこれを意識しやすい動きとして私がよく例に上げるのは、オーバーヘッド・パスです。

ボールを持って腕を頭の上に上げると肩甲骨とともに胸郭も上に上がってきます。このとき、横隔膜もいっしょに上に上がってきます。通常、腕を振ってパスをしてしまいがちですが、腕を動かさずに横隔膜を勢いよく下に下げてくると、胸郭が下がってくると同時に肩甲骨を引っ張り下げ、腕を振り下げる動きを引き起こします。この動きを使ってオーバーヘッド・パスをすると腕を後ろに引くといった予備動作をせずに、瞬間的にボールを投げることができます。こうした動きでパスをされるとディフェンスは予測して反応することができないため、たやすくパスを通すことが可能になってくるのです。

 

このように横隔膜、そして腹横筋と多裂筋、骨盤底筋群といった体幹部のインナー・マッスルをコントロールできるようになり、その力や動きを肩から腕や股関節から脚といった四肢に伝えることができるようになると驚くほどの力やスピードが出てきます。また、このように体幹部からの力をうまく伝えて動いていると四肢の力が抜けて柔軟性が向上し、柔らかくしなやかなカラダになってくるのです。こうした状態を作り上げることができるとスポーツで理想とされる“強くてしなやかでキレのある動き”が可能になるのです。