前々回にブログで紹介した『季刊パーソナルトレーニング』に掲載された「小・中学生にやってもらいたいスポーツでうまくなるための動きづくりエクササイズ」では「よく動く選手と動かない選手の違い」についても触れました。それを紹介してみましょう。
●よく動く選手と動かない選手の違い
長年指導してきた中でわかってきたことですが、よく動く選手と動かない選手の最も大きな違いは次の二つの動きに表れます。
(1)体幹部を締める力
いわゆる“腹筋・背筋”といわれる腹直筋や脊柱起立筋が発揮する力ではなく、インナーユニットと呼ばれる腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群などの呼吸に関わる体幹部のインナーマッスルの発揮する力です。これらの筋肉の力の入れ方は、“お腹を絞る”、“へその下に力を入れる”、“仙骨を締める”といったような表現になり、アウターマッスルである腹直筋や脊柱起立筋で体幹部を丸めたり、反らしたりする力の入れ方とは明らかに異なります。
(2)肩関節・股関節をねじる力
球関節である肩関節と股関節は、屈曲・伸展、内転・外転、内旋・外旋と三方向の動きをします。このうちねじる動きである内旋・外旋は、主に肩関節・股関節のインナーマッスルが働くことによって行われる動きです。これらの筋肉は関節が外れてしまわないように固定する役割を持っており、硬く動かなくなると詰まりを感じて可動域が制限されてしまいます。また、うまく働かずに緩くなりすぎると固定力が低くなり、アウターマッスルが力を発揮できなくなってしまいます。
よく動く選手は、インナーマッスルがうまく働いているため、体幹部を締める力と肩関節・股関節をねじる力が強く、こうした筋群を触ってみても非常に柔らかく緩んでいます。それに対して動かない選手は、体幹部が締まらず、肩関節・股関節がうまくねじれなくなっています。
そこでここでは、この二つの力をうまく発揮できるように体幹部や肩関節・股関節のインナーマッスルのコンディショニングエクササイズを紹介します。これらの筋肉を緩めうまく働くようにコンディショニングできれば、だんだんと「自分のカラダを自分が思ったとおりに自由自在に扱う」ことができるようになっていくことでしょう。
(『季刊パーソナルトレーニング』第16号(2012年冬号)p.107〜109)
先日ブログでも紹介しましたが、西武ライオンズの中島裕之選手はまさにここで挙げている「体幹部を締める力」と「肩関節・股関節をねじる力」がとてつもなく強いのです。
レッグ・レイズという足上げの腹筋運動を行うと腰が床から浮いてしまう選手も多いのですが、中島選手はまったく浮かず、いわゆるピラティスの“ザ・ハンドレッド”の状態を何食わぬ顔をして行っていました。
また、最近よく行わせているうつ伏せになって膝を90度に曲げ、膝を閉じたままかかとを開いていく“プローン・インターナル・ローテーション”という動きを行わせると股関節の横にある小臀筋に力が入り、しっかりと内旋してきます。多くの選手、特に男子選手では股関節の内旋ができず、わずかに開いただけでまったく動かなくなります。ところが、中島選手は床から45度くらいのところまで自分の力で開く(内旋する)ことができるだけでなく、そこからお尻を締めてかかとを閉じる(外旋する)力も今まで見た選手の中ではずば抜けて高いのです。
こうした2つの力を高めるべくさまざまなエクササイズを考えてきましたが、最近になって非常に効果的な股関節外旋筋群のストレッチを開発しました。これについてはまた改めて紹介したいと思います。
