1月の後半、2年ぶりに西武ライオンズの中島裕之選手が弊社にやってきました。
中島選手は、西武ライオンズ入団当時から私のところにちょこちょこやってきて、トレーニングやコンディショニングを学んでいました。
拙著『インナーマッスルを使った動きづくり革命パート2』ではセッション38で野球のスイングについて触れているのですが、ここに出てくるプロ野球選手とは彼のことです。普段バスケットボール選手を多く見ている私にとって、中島選手は今まで見たことのないほどの身体能力を持っていて、そのすごさに驚かされるばかりです。その一部を紹介するために『動きづくり革命パート2』から引用します。
「実は、先日も私が指導しているプロ野球選手が股関節の違和感を訴えてやってきました。彼は、50mを5秒7で走るほどの能力を持った選手で、私がまだまだインナーマッスルのことがよくわかっていない頃から『仙骨の周辺と股関節の付け根のあたりに力が入れば、もっと速く走れますよ!』といった感覚を持っていました。よく見ているとわかるのですが、調子が悪くなってくると股関節のインナーマッスルがうまく働かなくなり、大腿四頭筋の張りがとれずに太ももが太くなってきます。
『左股関節がひっかかってうまくねじれないため、左脚が長くなった感じで腰がうまく乗らない。スイングの後半で骨盤がうまく回らずに伸び上がってしまう』と言っていたので、ストレッチを行ってみると確かに左股関節が緩く、インナーマッスルに力が入らない状態になっていました。また、スクワットを行ってもお尻が後ろに突き出てしまい、両足のかかとの間に落とすことができなくなっていました。アブドミナル・スクイズで体幹部のインナーマッスルを締めて、ダイアゴナル・レッグ・レイズなどコンディショニング・エクササイズを行うと、徐々に股関節のインナーマッスルに力が入り出し、スクワットをやってもお尻が後ろに出なくなってきました。こうなるとだんだんと股関節のひっかかりがなくなってきてスムーズに骨盤が回るようになってきました。
この選手の例から股関節のインナーマッスルが腰のキレに大きく関与していることがわかるでしょう。
また、次のようなインナーマッスルに関する興味深い話をしていました。
『昨シーズンは三振が多かったんだけど、その原因はわかっているんです。それは仙骨の周辺に力が入らなかったことなんです。ここに力が入らないからスイングを止めることができずにバットが流れてしまい、手を出さなくてもよいボールにも手が出てしまったんです。』
これは私が“仙骨を締める”と言っている力の入れ方で、体幹部のインナーマッスルである多裂筋の話なのです。力が入らなかったといっても平凡な選手に比べたらしっかりと力が入っているのですが、この選手としては入っている感じがしなかったということでしょう。このように、インナーマッスルはバッティングにおいても重要な役割を果たしているのです。」
今回は、久々にやってきたため、最初のうちはちょっときついようでしたが、3回目にはかなりカラダが締まり、いい感じになっていました。特に驚くべきことは、やはりインナーマッスルの強さです。“よく動く選手と動かない選手の違い”ということを先日紹介した「小・中学生にやってもらいたいスポーツでうまくなるための動きづくりエクササイズ」(『季刊パーソナルトレーニング』第16号-2012年冬号)でも書いたのですが、“体幹部を締める力”および“股関節と肩関節をねじる力”がとてつもなく強いのです。普段見ているバスケットボール選手では出せないような力を発揮する中島選手を見て、超一流選手というのはやはりこうした資質を持っているのだと改めて感心しました。
今はキャンプ中ですが、しっかりとカラダを作って今シーズンがんばってほしいですね。そして来年こそ大リーグに挑戦してもらいと思います。
